【ピアノ発表会】ロマン派の作曲家たちのオススメ作品30選(後半)

【ピアノ発表会】ロマン派の作曲家たちのオススメ作品30選(後半) 楽曲紹介
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どうも、音大生のこうきです。今回はロマン派の作曲家の作品から、ピアノ発表会にオススメな作品を30曲選曲してみた後半です。今回取り上げるのはメンデルスゾーン、ブラームス、ラフマニノフです。小学生から大人まで、様々な難易度に対応しています。ピアノ発表会にオススメな作品は、無言歌集や小品集、ラフマニノフの鐘などです。

前半はこちら→【ピアノ発表会】ロマン派の作曲家たちのオススメ作品30選(前半)

目次

メンデルスゾーン

メンデルスゾーンはショパンとシューマンより1歳年下ですが、音楽の内容は2人とは全く違います。また技巧の点においてもカルクブレンナー※1の影響を強く受け、のちにモシュコフスキーやフンメルにも影響を与えました。

※1カルクブレンナーは1800年前後に活躍したピアノ教育家で、ショパンからピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11を献呈されている。

無言歌集より「狩の歌」

メンデルスゾーンは「無言歌集」という作品集を6冊×8曲の48作品残しました。そのなかでも有名な3作品を紹介したいと思います。

まず1曲目は「狩の歌」。なぜ「狩」なのかというと、それは狩に使われる楽器、ホルンの典型的な響きがするからです。6度→5度→3度という進行の響きは、俗に「ホルン5度」と呼ばれています。

アルペジオと複雑なリズムの和音を同時に演奏するのは意外と大変で、左手が動きにくい方にとっては更に大変でしょう。メンデルスゾーンの作品はどれも弾きにくいですよ。

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全音の楽譜は実用版だからとても見やすいし弾きやすいかも。

無言歌集より「春の歌」

譜面を見ると「うげ、装飾音多いし跳躍多そうだからやめよう」と避けられがちな作品です。確かに、このアルペジオの装飾音符を美しく、軽やかに弾くには相当練習が必要なように思います。

ですが、その練習の暁にはまさに「春」の音楽な演奏可能になっていることでしょう。ドイツの春とはいかに…。

(中の人は秋が好き)

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メンデルスゾーンに関してはぺータースが1番主流かも。

無言歌集より「ヴェニスの舟歌」

舟歌とは船を漕ぐ船頭が歌う作品ですが、実際に船頭が歌うわけではありません。波のようたゆたう音楽の名前に相応しかったのがこの「舟歌」なのです。舟歌はショパンやフォーレ、また歌曲であればドニゼッティも作曲しています。

ここでいう「ヴェニス」とはヴェネツィアのこと。ヴェネツィアは水の町としても知られていて、町中を船が通ることはもはや普通です。しかしこの作品、何故かかなり暗い。水の町と聞くと確かに美しいですが、冬はそれなりに寒いんでしょうね。

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もちろんヘンレは安定したクオリティ。

ロンド・カプリチオーソOp.14

緩やかな序奏を持ち、capriccioに入ると火のように荒れ狂う作品です。小学生で弾いちゃう強者もいるようですが、この作品は私たちが思っているよりずっと難しいです。脈略のない音列や、速いアルペジオ、またcapriccioの主題は3度でとても弾きにくいです。

メンデルスゾーンの技法は、この脈略のない音列にあります。彼はピアノがめちゃくちゃ上手く弾けたので、このようなパッセージが得意でした。作曲家の手癖というのは恐ろしいもので、どう考えても弾けないことを書く作曲家もいます。

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厳格なる変奏曲Op.54

メンデルスゾーン最高峰の作品と言えるでしょう。主題はまさに弦楽四重奏。横に流れる和声が非常に美しく、また儚く聞こえます。この主題がさまざまな手を加えられて変奏していきます。変奏はあくまで音楽の為であって、技巧の為ではありません。

変奏曲には「Maggiole(マッジョーレ)」と呼ばれる同主調の部分がかならずあります。この作品のMaggioleはまさに至高。今までの陰鬱なニ短調から、輝かしいニ長調の世界に私たちを誘います。Maggioleが終われば、あとはただただ突き進むのみ。圧巻のラストは必聴です。

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これくらい弾くならぜひヘンレ版を!

ブラームス

ブラームスは1833年生まれと、実はショパンらとは20歳以上も離れていて、時代的には中級ロマン派に分類されます。しかし、どうやらドビュッシーとも会っていたようなので、かなり時代としては私たち寄りと言えるでしょうか。

また交響曲においてのベートーヴェンを神として崇めていて、ブラームス自身の交響曲を作るには着想から30年以上かかりました。その交響曲は非常に優れていて、ベートーヴェンにも引けを取らない作品となりました。

小品集Op.76より第2番「奇想曲」

ブラームスの作品で簡単な作品はもはや存在しません。3つのソナタはそれはもう難しいですし、後期の小品集もブラームスの精神世界が広がるのでとても難しいです。

そんなブラームス中期に書かれた作品に、小品集Op.76があります。その中で1番有名なのはこの「奇想曲」でしょう。どこかで聞いたことがあるような作品ですね。不思議な音楽に跳躍の伴奏が付けられています。

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ブラームスはやっぱりヘンレだけど、これは最新版!

小品集Op.118-2「間奏曲」

後期ブラームスは、前期のような威勢のいい作品とは一転、静かで叙情性に溢れた作品が軒を連ねます。その人生を達観するような作品でもっとも美しいとされているのはOp.118-2「間奏曲」です。

この作品の素晴らしいところは旋律、和声が調和し、全く別の世界に誘うところにあります。人間のふところにほんの少しだけ介入するブラームスの人柄が良く分かります。いや、もはやブラームスは神なのかもしれない。

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こちらも小品集Op.76同様の最新版。

ラフマニノフ

ラフマニノフは、時代的にはロマン派と近代を生きた作曲家ですが、音楽自体は後期ロマン派を受け継いでいます。ここではあえてロマン派の枠でご紹介したいと思います。

ラフマニノフを演奏する際に必要なのは、大きい手と圧倒的な努力でしょう。彼はきっと天才じゃなかった。でもそれなりの努力をして上り詰めた人だと、私は確信しています。4つのピアノ協奏曲はその努力を大成させた例だと思います。

幻想小曲集Op.3より第2番「鐘」

ラフマニノフ最初期の作品で、当時も大人気の作品となったそうです。西洋における「鐘」はもはや時報のようで、彼らの生活の一端を担っていました。リストの「ラ・カンパネラ」もその例です。

しかし、ラフマニノフの考えた鐘はもはや超大型のカリヨン。ゴンゴン鐘を打ち鳴らし、私たちに時刻を伝えようとします。いや、そんなに鳴らされたら時刻どころじゃないって、セルゲイ。

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あのマルク・アンドレ・アムランがの運指が書かれたバージョン!

前奏曲集Op.23より第2番

ラフマニノフは2つの前奏曲集(Op.23&Op.32)を残していますが、今回はOp.23の中から超有名でオススメな作品を2曲ご紹介します。まずは第2番です。

非常に威勢のいい音楽で、聴衆を圧倒させます。オクターブをガンガン打ち鳴らすのは、先ほどの「鐘」のようです。ラフマニノフの作品は超難しいのが前提なので、弾きたい方は頑張ってくださいね!(無責任)

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こちらも同じくアムランの運指が書かれています。

前奏曲集Op.23より第5番

よくアンコールで弾かれる作品。和音の跳躍が多く、中の人のような跳躍弾けない症候群の方にはアレルギー反応が起こるでしょう。ウソです。必ず弾けるはずです。

中間部のメロディは日本のうた「夏の思い出」の冒頭「なつがく〜ればおもいだす〜」と聞こえませんか?悪いですがあなたはもう、この作品を聴くとこの歌が聞こえてきてしまう症候群にかかってしまいました。非常に残念ですが、診断は以上です。

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アムランは他にもソナタや、絵画的練習曲集の運指も手掛けています。

絵画的練習曲集Op.39より第9番

ラフマニノフは2つの練習曲集(Op.33&Op.39)を残していますが、ここではOp.39をご紹介します。だって、こっちの方が断然華やかで、超難しいから!(Op.33は少し地味な上に妙に弾きにくい、Op.39なら難しさに見合った華やかさがあります)

第9番は冒頭から和音を打ちつけます。なんの慈悲も無く、唐突に始まるので、作品として「最初に聴衆の意識を作品に向ける」という意義を十分に果たしています。これはクセになりますね。

常に前進し、一切後ろを向かない作品。後ろを向こうもんなら冥王ハデスに地獄に引きずり込まれてしまうんじゃないか、と思わせます。ラフマニノフを弾くのは勇気と度胸と大きい手が必要です。

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これがアムランの運指が書かれた絵画的練習曲!

絵画的練習曲集Op.39より第6番「赤ずきんちゃんと狼」

なんとも可愛らしい作品名ですがやっていることはただの鬼畜です。この作品を弾きこなせる猛者は 、多分ショパンであればなんでも弾けると思います。いや、それはウソかもしれないけど、それくらい難しい作品です。

ピアノという楽器がもっとも苦手とする「連打」を何故あえてやらせるのか。跳躍弾けない症候群にはただの生き地獄である、超難しい跳躍をなぜやらせるのか。中の人は絶望に暮れています(他の曲弾ければ、±0やん精神)。

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やっぱりアムランの運指は参考になるので手に取って確かめてくださいね。

まとめ

前半18曲と合わせて30曲をご紹介しました。発表会にふさわしい作品は、強烈な印象を与える作品と言えるでしょう。

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