【ショパン】手首を柔らかくする?ショパンの弾き方

【ショパン】手首を柔らかくする?ショパンの弾き方 演奏法
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どうも、 ピアノ部部長、 音大生のこうきです。今回はショパンの弾き方を解説してみようと思います。よく巷では「ショパンは弾けない」や、「ショパンは弾きにくい」などと聞きますが、それはなぜなのでしょうか?ショパンの弾き方はJ.S.バッハにルーツがあり、またほかの作曲家とは違う技法を必要とします。そのあたり、解説していきます!

目次

J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集にヒントがある

なぜJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集にヒントがあるのか?

ショパンの楽曲に、なぜJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集が関係あるのでしょうか?答えは、ショパンはこの平均律クラヴィーア曲集でピアノのテクニックを学んだからです。ショパンはJ.S.バッハを尊敬していて、自身の本番の前はJ.S.バッハの作品ばかり弾いていたそうです。

平均律クラヴィーア曲集は24曲(全部で48曲)ですが、ショパンも24曲をまとめた作品を3つ残しています。練習曲集Op.10.25と、前奏曲集Op.28です。特に前奏曲集Op.28は調の配列に規則性があり※1、J.S.バッハを意識したのでは?と思います。

※1)平均律クラヴィーア曲集はハ長調→ハ短調→嬰ハ長調→嬰ハ短調つまり、半音階ずつ長調→同主短調の順になっています。前奏曲集Op.28は、ハ長調→イ短調→ト長調→ホ短調と、長調→並行調の順に、五度圏を回ります。

平均律クラヴィーア曲集第1集より第5番ニ長調を例に

J.S.バッハとショパンの共通点の、わかりやすい例を持ってきました。平均律クラヴィーア曲集第1巻より5番ニ長調です。この作品の冒頭の右手を抜粋してきました。ショパンやJ.S.バッハ以外の作曲家は、スラーを書くとしたらこう書くのです。

しかし、ショパンとJ.S.バッハはテクニックの作り方が独特で、こう書くのです。

拍頭に向けてスラーを書きます。こうすると力が抜けやすくなり、より容易に弾けるようになります。このようなテクニックの構成をしているのがショパンで、だからショパンは弾きにくいのです。

小節の最初の音は前の小節の終わり

こちらは上記の平均律クラヴィーア第1巻より第5番ニ長調に通ずるのですが、J.S.バッハの作品は冒頭が休符の場合が多いと思いませんか?インヴェンションの1番、イタリア協奏曲の第1楽章、平均律クラヴィーア曲集第2巻の1番前奏曲、全て最初の音は休符です。

この休符の部分に、フレーズの終わりが入るのです。ショパンやJ.S.バッハは小節の頭からフレーズを始めないのです。

各指の力の差は活かすことができる

さて、上記のこの作品、指に均等な力が求められて機械的に弾く必要があるように思いますね。

平均律クラヴィーア曲集第1集より第5番ニ長調 より

しかし、ショパンは「各指の特徴を最大限生かすように」と言っています。つまり、4の指が弱いことや、1の指は強くなってしまうこと、2の指は固いなどの特徴を生かせと言っているのです。ショパンの楽曲に、リストのような強靭な手はいらないのです。力ずくでも弾けません。

指の柔軟性が求められるのが、ショパンなのです。

ショパンの実際の楽曲を例に

練習曲Op.10-1〜手が小さくても11度は届く〜

このショパン作曲:練習曲Op.10-1の冒頭、広いアルペジオが厄介ですよね。しかし、これは手が小さくても弾けるのです。「ドソ」を1.2の指、「ソド」を2.4の指、「ドミ」を4.5の指でとることができれば、このアルペジオは弾けるのです。「ドファドファ」とかは結構きついのですが、何とかなります。

英雄ポロネーズOp.53を例に〜オクターブは手を上げない〜

もはや譜例を挙げなくても分かりますね、中間部の左手のオクターヴのパッセージです。ここは手首のナップを効かせたり、指を上げたりなんとかして弾く人が多いのですが、ここは上腕で弾くべき箇所なのです。

理由は練習曲Op.25-10、オクターヴの練習曲で分かります。凄まじいオクターヴを弾かせながら、2の指を抑える指示があります。つまり、2を抑えたままで弾ける奏法で弾けよ、というショパンからの命令なのです。スナップを使っても結局疲れるし、手の小さい人には無理だし、うん、無理。

幻想即興曲Op.66〜小節の最初は前の小節の終わり〜

こちらも譜例はいらないですね。幻想即興曲の冒頭のテーマも、最初は休符です。これは我々のリズム感を狂わせるわけではなく、我々に弾きやすくする手立てを示してくれているのです。これは 平均律クラヴィーア曲集第1集より第5番ニ長調と同じですね。

例えばこんなリズム練習は、ショパンではかなり有効になります。リズムを変形しなくても、このまとまり毎にさらうことで力が抜け、容易に弾けるようになります。

幻想即興曲の冒頭

上は2拍、下は3拍でカウントすると、勉強になるでしょう。

練習曲Op.10-7〜手首は柔らかくしない、硬くするな〜

この作品は同音反復とレガートを融合させた、いや~な練習曲です。この作品ではショパンの手首の使い方が分かります。よく「ショパンは手首を柔らかく~」などと言われますが、そもそも柔らかくしたらピアノは弾けません。「手首を柔らかく~」ではなく、「自由に動かして~」の意味なのです。

よく考えてみてください。手首が縦横無尽に動くぐにゃぐにゃなピアノの演奏、スカスカする音が頭に浮かびます。

まとめ

ショパンの奏法を解説してみました。ショパンはJ.S.バッハを尊敬していたため、ショパンのテクニックはJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集に依拠されています。曲の最初の休符、独特なフレーズのまとまりは、J.S.バッハが由来なんですね。

テクニックというのは2音のつながりで、鎖のようなものです。2音がつながれば、あとは数珠のようにつなげていけば良いのです。逆に、その2音がつながらない箇所を探して、弾けるようにしましょう。

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