【アナリーゼ】音楽を司る要素とアナリーゼを5個音大生が解説

【アナリーゼ】音楽を司る要素とアナリーゼを5個音大生が解説 練習法
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どうも、音大生のこうきです。今回はアナリーゼについて解説してみました。日本語で楽曲分析。いや、アナリーゼって言った方がカッコいいって。音楽に必要な要素(旋律線、和声、アーティキュレーション)などを自分で考えるのが楽曲分析です。もっと細かく言えば順次進行や跳躍進行、音量やバランスの問題など。作品の理解には不可欠ですよ!

目次

旋律線

まずアナリーゼするのは旋律線です(いや、何からやってくれて構わないっす)。旋律線の分析とは、動機(モティーフ/テーマ)の分析や対位法的な分析、またフレーズの分析が必要となります。この分析は主に横のラインの分析に繋がり、歌い方を左右する重要な分析です。

動機

作品には大抵、その作品の肝となる動機が存在します。バッハやベートーヴェン、フォーレくらいまでは動機労作と呼ばれる、動機をうまく用いて1つの作品を作り上げる作曲技法が一般的に使用されていました。

たとえばベートーヴェンのシンフォニー第5番Op.67「運命」の第1楽章は「だだだだーん」でほとんどが形成されています。動機労作の最たる例です。

順次進行

順次進行とは、隣り合わせの音に進む旋律線のことを言います(どれみふぁみれど~とか、そらそがみれみがそらしらそふぁみれ~とか)。順次進行はlegatoな気質があり、また流れるような音楽がすると思います。

順次進行には和声で重要な解決音(2度の音程)が含まれているので、それを綿密に分析することは、和声を理解するうえでも必要となります。

跳躍進行

跳躍進行とは、3度以上音が離れる進行の事をいいます。分散和音が最たる例で、分散和音は決してとなりの音を弾きませんよね(三和音の場合ね)。跳躍進行は音域が広くなったり、丁寧に歌いたい部分に使われることが多いように思います。

また跳躍進行は旋律だけで和音の音を形成することができるので、対位法の音楽にて大活躍します。また、1つの音しか出せない楽器(管楽器、弦楽器とか)でも重宝されています。

対位法

対位法とは、2声以上の声部で構成されている楽曲において使用されている作曲技法のことを言います。バッハのインヴェンション(2声)、シンフォニア(3声)、平均律(2~5声)は対位法の叡智とも呼べる作品ですね。

またショパンやシューマンも、複雑な声部を用いて作曲しているので、そのような声部の分析は必要となります。

対位法の分析はほとんどフーガの分析と言っていいので、こちらについてはこの記事をご覧くださいませ。

フレーズ

J.S.バッハの作品にはほとんどスラーが書かれていません。しかし、実際に演奏するときにすべて切って演奏する訳はなく、かならずフレーズが存在します。そのフレーズを自分で感じ取るアナリーゼが必要となります。

自分で声に出して歌うとしたら、どこからどこまで歌えるか。たまにある独特な歌いまわしの部分はどこか。フレーズの長短はあるのか、など、考えることはたくさんあります。

和声

和声の分析は旋律線の分析とは違い、縦の線を分析と言えます。和声は分かりやすく言えばコード進行のようなもので、ある一定の秩序に則って展開されています。分かりやすいのはモーツァルト、ハイドン。やっちゃいけないのは対位法作品の和声分析。

対位法作品の和声は非常に独特で、和声法に合わない和声も平気で使っています。しかし対位法において和声が厳密に正しくなくてはいけない決まりはないので、たまに無法地帯の部分があります。

ショパンの和声分析も困難を極めます。いいえ、できないことはないのですが、なれと経験が必要です。11の和音がぱっと思い浮かばないとできないことがあります。もちろん、転位音と定位音も含めて…(倚音とか掛留音、逸音、先取音、刺繍音、経過音とか)。

音量

J.S.バッハの作品は、一部を除いて音量の指示が書かれていません(piano、forteとか)。しかし、演奏する際はフレーズと同じように、音量を決める必要があります。皆さんはどのように音量を決めていますか?

旋律線の上下動や和声のエネルギー関係、音の数によっても変化します。実際には音量は演奏者によってさまざまなので、よりロジックで理由がある音量を見つけてくださいね。

バランス

音量の表現の1つに、バランスがあります。バロック~ロマン派のピアノというのは低音域が非常になりづらく、勝手に音量は抑えられました。つまり、その時代の作品は低音域を出し過ぎてはいけないのです。

実際、ピアニストの演奏は旋律以外は極端に音量が小さく、相当な気を使ってコントロールしていることが分かります。あなたはforteの指示を見たとき、よっしゃ~と両手でforteを表現していませんか?

アーティキュレーション

アーティキュレーションとはスタッカートやマルカート、テヌートのことを言います。というか、この3つだけといっても過言ではないです。このアーティキュレーションは最も楽譜に書かれていない指示で、なんとなく弾いている人がほとんどだと思います。

私たちは作曲家の当たり前を読み取り、それに応じて楽譜に隠された裏の指示を書き足す必要があります。楽譜に元から書かれている情報だけでは、私たちは演奏することができないんですね。だからアナリーゼをしなくてはならないんです。

歌ってなんだよ!って感じですが、ように歌い方です。ここまで分析すると大体歌い方が定まっているはずですが、いまいちど確認してみてください。歌というよりは、抑揚、語り方、といった方が分かりやすい人もいます。ニホンジンダッテコンナカンジデハナサナイデショ。

(これだけで抑揚が無いって分かるニホンジンッテスゴイ)

まとめ

アナリーゼの基本をまとめてみました。アナリーゼはその作品を理解したり、表現の指針を決めたりする重要な作業です。結構時間のかかることで面倒なのですが、演奏には大切なこと。今弾いているその音はどのフレーズで、どんなアーティキュレーションで、音量はいくらで、どんな和声ですか?

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