ピアノ弾きの憧れ「ショパン」のオススメ16曲!

ショパン
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どうも、 ピアノ部部長、音大生のこうきです。音大に行くと嫌でもショパンを弾かされます。バラードにスケルツォにたくさんのエチュード、、、

しかし、習い始めたばかりの方にとっては憧れの作曲家だと思います。「ショパンは難しい」とレッテルを貼られていますが、もちろん簡単でオススメな曲もたくさんあります。今日は約200曲の中から弾きやすく、弾けたらカッコいいオススメ曲を7曲集めました。

目次

子犬のワルツ(ワルツOp. 64-1)

幸せ絶頂のショパンが彼女のサンドと庭で遊ぶ子犬を見ていたとき、この作品が浮かんだそうです。3拍子は日本人が苦手と言われていますが、それはウィンナーワルツや舞曲色の強い作品。ワルツも舞曲ですが、この子犬のワルツは踊るために作られた作品ではないので、日本人でも弾けます。

♭5つの変ニ長調で書かれていますが、実は黒鍵が多いほど弾きやすいのです(練習曲Op. 10-5みたいなのは別)。そもそもショパンは習い始めの子供に対しては、右手の指の1.2.3…の順に、ミ、ファ♯、ソ♯、ラ♯、ドの音を対応させました。普通はド、レ、ミ…と対応させるのが普通です。

譜読みは大変ですが、ショパンでは弾きやすく、また有名でオススメの作品です。

子猫のワルツ(ワルツOp. 34-3)

子犬のワルツに埋もれたこの「子猫のワルツ」。「子猫」と付けられたのは多分「子犬のワルツ」と対応させたかったからだと思います。

ショパンコンクールでも良く弾かれる作品で、軽やかな動きが特徴的です。冒頭は威勢のいいアルペジオで始まり、とても華やかな雰囲気がします。子犬のワルツよりは難しいですが、手の届かないことはありません。

この子猫のワルツで難しいことはリズムです。3拍子で書かれていますが、弾いてみると右手が2拍子、左手が3拍子に取れてしまいます。ヘミオラ※のようなことが起きるので、リズム感を養うにはオススメの作品です。

※ヘミオラとは…3拍子が2小節あると6拍だが、一時的に底の部分だけ2拍を3つ(合計6拍)とカウントすること、またはその逆のこと。

ノクターンOp. 9-2

言わずと知れたこの作品。「ショパンのノクターン」と言われた場合は大抵この作品です。ちなみにショパンはノクターンを遺作を含めて20曲書いているので、ただノクターンと言われてもわかりませんよね。

逆に「ノクターンOp. 9-2」とだけ言われるとスクリャービンにも同じ作品番号のノクターンがあるので混乱してしまいます。え?お前がマニアックすぎるって?大変失礼いたしました。

この作品の難しいことは左手の暗譜です。ショパンは和声(コード進行のようなもの)が独特で、非常に緻密に書かれています。なので、左手の暗譜が大変難しいです。音が抜けたり増えたり、臨時記号があやふやになったりします。短期間ではなく、長い時間をかけて暗譜すると本番で上手く弾けるオススメの作品です。

軍隊ポロネーズ(ポロネーズOp. 40-1)

ポロネーズもまた舞曲です。下の楽譜が、ポロネーズのリズムです。ショパンは祖国の舞曲を大切にし、作品に残しました。

「軍隊」の名に相応しい作品で、とても元気があります。ショパンでは珍しいfff(フォルティッティッシモ)も使われ、堂々とした雰囲気があります。また、ショパンのポロネーズはたまにポロネーズのリズムがほとんど使われないという謎なことが起きますが、この作品は常にポロネーズのリズムが響きます(英雄ポロネーズにポロネーズのリズムは数小節しかない)。

この作品の難しいところは手を広げた和音の連打です。9度が多用されるので、ある程度手の大きい方でないと弾けません。また、ただただ疲れます。

ショパンでは珍しい豪快でダイナミックでオススメな作品です。

マズルカOp. 7-1

マズルカも、ショパンの祖国ポーランドの伝統的な舞曲です。舞曲だから踊れないといけないか?そんなことはありません。ショパンは踊るために作品を書いていませんから。

この作品は変ロ長調ですが、その5度の和音(コードネームでいうとF)で始まり、とても躍動感があります。跳躍進行(音が離れた旋律のこと)でリズムも跳ね、ショパンらしい可愛らしい作品となっています。

左手の跳躍が難しいですが、決して弾けないレベルではありません。そんなにテンポが速いわけではないので、落ち着いて演奏しましょう。

また、途中にuna cordaの指示があります。変ホ短調という暗黒の世界に突然飛び込むショパンはやはり天才、左のペダルを踏んで音色をガラッと変えましょう。

幻想即興曲Op. 66

ピアノを弾く誰もが憧れるこの作品は、実は2種類あるのです。今、みなさんが知っているだろう幻想即興曲は、実はフォンタナによって書き換えられていたのです。

いいえ、これには訳があるのです。ショパンはこの作品を世に出したくなかったので、引き出しの奥にしまい込んでいました。「僕が死んだら、この作品たちは全て燃やして処分するように」とお願いするほどでした。

しかし、ショパンの友人であるフォンタナがこの作品を発見し、書き換えた上で出版してしまいました。ショパンは怒っているのか否か、、、つまり、現在出回っている幻想即興曲の多くは「フォンタナ版」なのです。どちらの版もオススメです。

しかし、ショパンはこの作品をお世話になったデスト公爵夫人に献呈していました。それが、ショパン本来の楽譜です。ルービンシュタインがこの版で演奏しています。私も弾いたことがあるのですが、フォンタナ版より音が多く、リズムも違います。ぜひ1度聞いてみてください。

エチュードOp. 25-2

ショパンエチュードは音大生が苦しめられる作品集です。Op. 10-1や10-4、Op. 25-5に25-12は音大生の鉄板曲です。しかし、そんなショパンエチュードでも弾きやすい作品はあります。

それがOp. 25-2です。この作品は右手の速いパッセージの練習曲です。左右のリズムが独特ですが、慣れればすぐ弾けるようになります。

実はショパンエチュードは、ツェルニー30番あたりを弾く人であれば弾ける曲集なのです、簡単な曲なら。ショパンエチュードの初めにOp. 25-2はいかがでしょうか?(自分はOp. 10-5だったかな、、、)

ここから無慈悲に難しい曲を並べますが必ず弾けますよー!!!

スケルツォ第2番Op. 31

スケルツォ(Scherzo)はイタリア語で諧謔的に、簡単に言えばおどけて、冗談に、という意味です。ショパンは4つのスケルツォを書きましたが、この第2番Op. 31が1番弾きやすいのは確かです。私もスケルツォの最初はこの作品を演奏しました。

長そうに見えますが、繰り返しが多いのでさらう部分は多くなくて済みます。普通繰り返しもしません。このスケルツォ第2番Op. 31の難しさはアルペジオにあります。左手にも右手にも広範囲のアルペジオが現れるので、手首を柔軟にしなくてはいけません。また、音量を落として弾かないといけないのがさらに厄介です。しかし安心してください。やろうと思えばできます。絶対に!

努力を平気で裏切る箇所は中間部の終わりの和音の跳躍です。本来ならば黒鍵ばかりで弾きやすい場所なのですが、ショパンの手の柔らかさにはどこか病的なものがあったのでしょうか、全然指がはまりません。悔しいですが、ここだけは必死に練習してくださいね。

革命(エチュードOp.10-12)

え!革命弾けちゃうの!?とお思いのみなさま、革命はショパンエチュードの中でもかなり簡単な部類に入るのですよ…

あまりに有名すぎるこの作品、実はツェルニー40番あたりを弾く方であれば弾けちゃいます。確かに左手は難しいですが、その分右手が節制されているので、左手をメインに練習することが出来ます。またこの作品くらいの有名度になると弾いていて楽しいので、あっという間に弾けるようになります。

厄介なのは♯系の調(嬰ト短調)になる場面の左手、4.5の指の独立と支えが求められます。すこし大変ですが、5→4への移動しかないので、頑張ってくださいね。冒頭と最後の両手のユニゾンは指がはまりやすく書かれているので大丈夫です。弾けますよ。

バラード第1番Op. 23

いやいや、羽生結弦くんの曲でしょ、知ってるよ、という声が聞こえてきました。大正解です。ショパンが初めて書いたバラードは完成度も高く、演奏効果も絶大です。もちろん、このレベルの曲は簡単には弾けません。でも、人間が弾けるのですから、皆様も弾けますよ。

この曲を音大の教授に見せると、最初のドーのユニゾンだけで3回くらいレッスンが潰れます。確かにあの音は大事だけど、その意志を他の音にも持った方が…という苦言は置いておきます。しかも教授は「違う、もう1回」しか言わないし、先生弾いてみてよ!

お耳汚し(お目目か?)失礼いたしました。この曲の難所は最後から3ページ目、Presto con fuocoの指示がある場面です。ここ、聞くだけだとリズムが変に聞こえるのですが、変にずれています。変なリズムに、超鬼難しいパッセージ、弾けるのかこれ…と思うかもしれませんが、実際に弾いてみると指ははまりやすいです。ショパンは弾けない音は書かない人でした(スケルツォ第3番Op. 39は謎)。大変ですが、ここを乗り切れば羽生結弦君の金メダルが見えてきます!

ピアノソナタ第3番Op. 58より第4楽章

(第4楽章の演奏は20:50あたりから)

音大生がこれだけ弾くのはもはや倫理的にまずいのですが、発表会や趣味で楽しむ方なら弾いてOKです。むしろ弾いてください。私たち音大生になると全楽章が必須になるので…

Finaleにふさわしいオクターヴの上行、陰鬱な雰囲気を持ちつつも決して揺らがない精神力が見て取れます。ショパンの大大大傑作の第4楽章ですから、それなりに気合が入った作品になっています。

この作品の厄介なところは超速いこと。ショパンはあまり速い曲を書かなかった(エチュードは除く)のですが、これは別です。このソナタの第2楽章もめちゃくちゃ速いです。しかし速いとは言っても、音階がほとんどを占めています。また、この曲で大失敗した例を聴いたことが無いので、きっと指がはまりやすく、弾きやすいのでしょう。かなりぶっ飛ばしたテンポの演奏をよく聞きますが、大抵何とかなっています。胸を張ってオススメします。

ただ、最初から突っ走るとハデスの待つ地獄へ一直線なので、気を付けてください。何事も安全運転です。

エチュードOp. 10-4

こちらは努力を平気で裏切る作品です。ショパンエチュードに多いんですよ、努力を平気で裏切るやつ。まぁ、ショパンは自身のピアノ協奏曲第1番Op. 11を弾きこなすために作られたのがエチュードOp. 10なので、それを弾く私たちに問題があるのかも…

こちらはピアノソナタ第3番Op. 58より第4楽章とは違い、大抵事故が起きる曲です。ノーミスで弾ける人はマジで尊敬に値します。この作品は嬰ハ短調という黒鍵が多めの調で作られているのですが、いかんせん音の並び方が古典的なのです。何も考えずに音を4つずつ置いてしまったので、指がびっくりするくらいはまりにくい作品に仕上がったのです。

またこの曲は本当に事故が起こるので相当の勇気と度胸、そして何事にも屈しない強靭なメンタルが必要となります。なぜオススメかって?これが弾けると本当にかっこいいからですよ。

舟歌Op. 60

ショパンの大傑作、舟歌Op. 60。舟歌とは文字通り、船頭が歌った曲ですが、この頃には1つのジャンル(幻想曲とかソナタとか)として確立されていました。有名な舟歌はメンデルスゾーンの無言歌集第2集より「ヴェニスの舟歌」や、フランスの作曲家フォーレの13の舟歌があります。

この作品の冒頭は解釈が分かれます。私はポリーニのガツンとした一撃が堪らなく好きなのですが、下品と言えば下品(あの音は多分手をグーにして叩いている)。ふわっと入るのもまた堪りません。

この舟歌Op. 60は、絶対音感の持ち主であれば変ト長調か嬰へ長調で迷うと思うのですが、正解は嬰へ長調です。嬰へ長調はロシアの作曲家スクリャービンが好んだ調性でした。もし変ト長調で書かれたら、舟歌というよりもっとダラ~っとした違う何かに生まれ変わっていたかもしれません。

この作品のまぁ全体的に難しいのですが、逆に全体的に簡単なのです。音楽性に富んだ大傑作なので、是非歌心を駆使して演奏してくださいね。少し地味に聞こえてしまうので、より華やかに、表情豊かに演奏することをオススメします。

バラード第3番Op. 47

ポーランドの騎士が1人、人気のない湖にたたずんでいました。水面は揺れ、花々は風になびいています。すると声が聞こえるのです。「勇敢な騎士さん、こっちで遊びましょう」若い女性が声をかけてきました。「えぇ、よろこんで」騎士はもちろん承諾し、2人は踊りだします。その女が恐ろしいオンディーヌ(水の精)だとは知らずに…

ポーランドの詩人ミツケヴィチが書いたオンディーヌの詩を基にショパンが作曲したのがこのバラード第3番Op. 47です。ショパンの4つのバラードは全て基となる詩があるので、是非調べてみてくださいね(魔女が崖から追いかけて来るのもあるけど)

この作品はショパンの4つのバラードの中で唯一長調の作品です。第2番Op. 38はヘ長調で始まりますが、なんと魔女が崖から追いかけてきてイ短調で終わります。つまり、唯一ハッピーエンドする作品がこのバラード第3番なのです。

細かいことは置いておいて、この純粋な恋とオンディーヌの葛藤、そして恋が実るハッピーな気持ちを思う存分表現してくださいね。

(一応申し上げますとオンディーヌの葛藤の部分、嬰ハ短調の部分が超難しいです、恋とはときに恐ろしいものになるのですね)

英雄ポロネーズ(ポロネーズOp. 53)

この作品、意外と発表会で弾かれるらしいですよ、私は聞いたことないけど。というわけでこちらも大傑作、言わずと知れた英雄ポロネーズOp. 53です。

この英雄ポロネーズ、実はポロネーズらしくないことでも有名です。ショパンはほとんどのポロネーズに、そののリズムを入れたのですが、この英雄ポロネーズにはほんの少ししか使われていません。祖国ポーランドへの思いはどこへ…

この作品で大変なのはやはり中間部の左手のオクターヴ連打です。よく手首だけでなんとかしてしまうピアニストの演奏を見ますが、それはやってはいけません。オクターヴ連打はバスケットボールを打つように弾くのです。慣れれば早くできますよ、できるようになればショパンエチュードOp. 25-10ももうすぐですね。

とにかくダイナミックなこの曲、疲れやすいので序盤で力を使い果たさないようにしましょう。また例のオクターヴ連打で腱鞘炎になる人が続出なので、腱鞘炎になるくらいでしたらこの曲はあきらめましょう。

木枯らし(エチュードOp. 25-11)

これ弾けたら音大に入れます。本当です。入試で弾く強者は聞いたことないですが、これ弾ければ音大に入れます。

この曲もエチュードOp. 10-4同様、大抵事故る曲です。ショパンよ、事故らない曲を作ってくれ…

この作品について語るほど私に技量がないのでとりあえず神の演奏を置いておきます。ただめちゃくちゃ大変です本当に。え?それでもなぜオススメするかって?

これが弾けたら大抵のショパンの曲は怖くないからです。

まとめ

ピアノを弾く人の憧れ「ショパン」は、決して手の届かない作曲家ではありません。「ピアノの詩人」と呼ばれたショパンですから、ピアノを弾く人すべてが演奏できるように書かれています。

オススメしたい作品は山ほどあります。ショパンは200曲以上もの作品を書きましたから!ですが、今日はここまで。

発表会にオススメな作品の記事たち。

この記事でオススメした曲たち。

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