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ざっくりいうと
ショパンのオススメの版はこの5つ!
- ヘンレ版
- 全音版(山崎孝編)
- コルトー版
- パデレフスキ版
- エキエル版
どうも、ピアノ部部長、音大生のこうきです。
今回は皆さんのお悩み「ショパンはどの楽譜を買えばいいの~⁉」についてお答えします。ショパンの版でオススメな楽譜はヘンレ版、全音版、コルトー版、パデレフスキ版、エキエル版の5つに集約されます。見やすいヘンレ版、練習方法盛沢山の全音版とコルトー版、基本に忠実パデレフスキ版、絶対王者のエキエル版などがあります。
目次
なぜショパンの版はたくさんあるのか?
3つの国で同時に出版したため
ショパンはフランス、ドイツ、イギリスの3つの国で同時に作品を出版しました。普通は1つの国が出版し、売れ具合を確かめてから自国でも出版しますが、ショパンは当時から売れっ子な作曲家だったのでしょうか?
3つの国で同時に出版するということは、少なくとも3人の編集者がいるということになります。楽譜は本と一緒で、必ず校閲をする人がいて、必要に応じて楽譜を書き換えます。ベートーヴェンはその校閲に立ち会っていたので間違いはないそうですが、3国を東奔西走する余裕はショパンにはありませんでした。
つまり、3人の編集者がそれぞれ違う編集をしてしまったがために、本来のショパンの音がわからなくなってしまったのです。
作曲家の楽譜が1番信用性があるのですが、誤植が多いのも事実。実際、プロコフィエフの楽譜にはかなりの誤植があります。例えば、オクターブ違いの音なのに臨時記号をつけないといけなかったり、ナチュラルをつけ忘れたり(これが1番多い)します。
もっとも厄介なのは、例えば提示部と再現部で音が違うことです。本来おなじ音で良いはずなのに敢えて違う音を書いているのか、それとも記憶に頼って書いたら間違いだったのか、私たちには判別不能です。
ピアノ弾きから大人気の作曲家のため
音楽学の分野では、時代に埋もれていった作曲家の価値を見出すために研究することがよくあります。しかしショパンやJ.S.バッハ、ベートーヴェンなどの有名作曲家に関しては、ただ自分が研究してみたいから、という理由で研究されることがあります。
実際、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の版をざっと挙げるとこれだけあります。
- 全音版(市田儀一郎編)
- ヘンレ版
- ベーレンライター版
- ペータース版
- ウィーン原点版
- ツェルニー版
- ブゾーニ版
- バルトーク版
版が増えることは新しい価値観を見出す意味では良いことですが、同時に情報が錯綜し、混乱を招くこともあります。ショパンが良い例ですね。
ショパンのオススメの版5選
ヘンレ版
ヘンレ版はドイツの音楽(ベートーヴェン、ブラームスetc…)には良い版ですが、ショパンとなると少し事情が違います。間違った音はないけど、特段素晴らしい指遣いが書いてあるわけでもなく、至って普通っていう感じです。
ショパンの演奏もそうです。普通にうまく弾いたのでは、今はもう評価されません。最高レベルに仕上げてからが本当の意味での勉強なのです。大人気作曲家はつらい…。
でもヘンレ版は非常に見やすく、また譜面台に置きやすいので、利便性の上ではTOPでしょう。
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全音版(山崎孝版)
次にオススメな版は全音版です。とりわけエチュードに関しては1冊は持っていた方が良い、というくらいおススメです。
というのも、この版には練習法がたくさん載っています。難しいあのパッセージや、跳躍の練習法が1曲ごとに載せられていて、非常に便利なエディションとなっています。
惜しいのはOp.10とOp.25が分冊になっていることと、若干見にくいところ。でも買う価値があるエディションですよ!
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1冊でOp.10.25が入っている版もあるけど、オススメはこっちの分冊。練習方法が色々かいてあるから!
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コルトー版
フランスのピアニストであり教育家、アルフレッド・コルトーが編纂した版が存在します。俗に「コルトー版」と言います。
コルトー版は実はショパンだけでなく、リストなども校訂しています。コルトー版最高の特徴といえば、コルトーの練習方法が事細かに書かれていることです。コルトーは教育家でもあったので、弟子に色々な練習方法を伝授したのでしょう。あのJ.S.バッハですらそうだったのですから。
本当はフランス語で書かれていますが、全て日本語に訳されて出版されています。唯一の欠点は、そもそもこの練習方法が必要なのか?ということ。しかしコルトーの練習方法は非常に優れているので、万人に受けることはないでしょうが、何か自分自身に刺さるものがあるかもしれないですよ。
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練習方法がこれでもか!と書いてあるから、1冊は持っておいた方がいいかも。
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パデレフスキ版
パデレフスキーはピアニストであり作曲家、なんとポーランドの大統領を務めたこともある偉大な人物です。今はポーランドでパデレフキ国際ピアノコンクールが行われるなど、ポーランドを代表する作曲家となっています。
そんなパデレフスキが編纂したエディションは、今録音されているショパンのほとんどで使われているでしょう。ある意味スタンダードな解釈が載っていて、誤植も極端に低く、また日本語版の楽譜も出版されています。
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パデレフスキ版は開きにくい…けど見やすい!!
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エキエル版
映えある第1位はエキエル版です。ショパン国際ピアノコンクールで審査員長を務めたこともある、ヤン・エキエルが編纂し、ショパンコンクールがこの版で演奏することを推奨しています。
中身は玄人向けで、自筆譜を忠実に再現しています。アクセントとヘアピンアクセント(長さが違う)を明確に分けたり、敢えてショパンの自筆譜通りの棋譜をしたり、専門書のような楽譜になっています。
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エチュードOp.10-3はかなり強烈な音が書かれています。普通直して弾きます。
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まとめ
ショパンのエディションでオススメなのはこの5つ。でも、中の人の本当のオススメはコルトー版とエキエル版!
- ヘンレ版
- 全音版(山崎孝編)
- コルトー版
- パデレフスキ版
- エキエル版
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