ジョルジュ・シフラの編曲4作品まとめ

ジョルジュ・シフラの編曲4作品まとめ ジョルジュ・シフラ
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どうも、 ピアノ部部長、 音大生のこうきです。今回はジョルジュ・シフラの編曲作品を解説しようと思います。クラシック音楽では技巧を弾き散らかすような曲や演奏は敬遠されるのですが、このシフラの編曲作品はその技巧を弾き散らかす最上位のような作品ばかりです。

バラキレフの≪イスラメイ≫、ストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカからの第3楽章≫、メシアンの「幼子イエスにそそぐ20の眼差し」より≪喜びの精霊のまなざし≫ですら簡単に見えてしまうほどの作品です。

超弩級の難曲をお楽しみくださいませ。

目次

ジョルジュ・シフラの編曲4作品まとめ

ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

この作品はゴドフスキーやブラームスのピアニズムを継承しており、シフラにしては簡単な作品です。すこしやっつけな編曲ですが、どのような意図で編曲したのでしょうか。

しかし途中に出てくる超高速パッセージは、この後の人間卒業のような編曲を予感させます。もう誰にも止められません。

リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行

中の人の友人
中の人の友人

あれ?この作品は1段で書かれているの?

中の人
中の人

そうだよ、だから譜読みも簡単だし両手を使わなくても弾けるかも。

ペトルーシュカからの第3楽章は4段譜だからそっちの方が難しいかも?

ピアノの先生
ピアノの先生

こうき君、そんなわけないの。この1段譜というのは単にちょっとだけ

読みやすくしてくれただけなの。2段譜に戻したらそれはもう暗黒の楽譜よ。

なんとこの作品は1段譜で書かれています。私たちは常日頃から大譜表の2段を読んでいるので、1段だったらすぐ読めますし、もはや両手も必要ないかもしれませんね。≪ペトルーシュカからの第3楽章≫だって4段のところがあるから、むしろそっちの方が…難しい訳なく。

ほとんどオクターブの連打で、しかもフォルテからピアノまで弾きまくり、連打もありパッセ―ジもあります。これを弾く人はもうドMでしょうか。シューベルトの≪魔王≫の冒頭の連打で泣き言を言っているようじゃ、シフラは弾けないのですよ。

≪熊蜂の飛行≫は遅く弾けないので、もう速く弾く選択肢しか残されていません。速く弾くと本当に蜂の「ぶーん」という音が聞こえそうです。いや、私には聞こえる。

また途中に出て来る連打もあまりに速すぎるため、きっとアップライトでは演奏不可能のように思います。ピアノの限界すら超えてしまうシフラ、一体何なのでしょうかね。

ラフマニノフでさえこれで抑えているのにシフラは…

ヨハン・シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ

TVでも意外と聞き馴染みのある作品です。なにかびっくりする場面や、おっかなびっくりの場面に似合いそうな作品ですよね。こちらはヨハン・シュトラウス「2世」の作品ですので、お間違いなく。「ワルツ王」とも呼ばれますが、いつは「ポルカ」も多く残しているんですよ。≪アンネン・ポルカ≫はCMで使われたことでも有名です。

さて、この作品がシフラの手にかかるとこんな感じに変貌します。どうやって弾いてんだよ、と思いたくなるようなこの作品。本当はピアノの内部に設置したスピーカーから流れているんじゃないかと疑いたくなりますが、どうやら本当に弾いているようです。

和音の音が異常に多い中でこの「ポルカ」の軽さを出すのは実は至難の業で、ユジャ・ワンのような強靭な腕や手を持っていないと成し遂げない音楽です。いや、私だったら譜読みの段階で挫折するでしょう、間違いありません。

ハチャトゥリアン:剣の舞

中の人の友人
中の人の友人

。。。はい?

中の人
中の人

What happened?

こちら本当は2台8手連弾で、という嘘をつきたくなるようなソロ用の編曲です。念のためもう1度。

こちら、ソロ用の編曲です。

いやもう左手の破壊力が凄まじいですね。「凄まじい」とは「身の毛のよだつような」という意味があるのですが、本当に身の毛がよだつ編曲です。このテンポでどうやって音を当てているのでしょうか。もはや怪奇現象、最近でもこの作品を弾いた人は聞きません。

ユジャ・ワンでさえ、実はこの作品には手を出していません。トリッチ・トラッチ・ポルカなどとは次元が違う難しさなのです。どうやって左手を弾き、どうやって右手のあの鬼畜パッセージを弾けというのでしょうか、シフラに直接訊ねる必要がありそうです。

このピアニズムの根源はゴドフスキーやブラームスにありそうな雰囲気なのですが、それをもっと発展させて鬼畜にし、自分の表現方法の1つとして取り込んでしまったのがジョルジュ・シフラという人でした。

おまけ

シフラの作品は一応シフラ本人は弾けますし、なんとか録音が残ってしまっているので弾けることが証明されてしまいました。しかし、世紀のヴィルトゥオーゾがわざわざ弾けないから自動演奏で弾けよ、といった本当に演奏不可能な作品があります。マルク・アンドレ・アムランの≪自動演奏のためのサーカス・ギャロップ≫です。これは多分ピアノが何台合っても弾けません。

(これ聴きながら記事書いてたら気持ち悪くなってきた…)

まとめ

ジョルジュ・シフラの超弩級の編曲作品4曲を解説してみました。いかに人間が弾く曲ではないことが分かったと思います。逆に、これが弾けたらあとのものは怖くないから、1度弾いてみるのも手かも…?

  • ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
  • リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行
  • ヨハン・シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ
  • ハチャトゥリアン:剣の舞
  • (おまけ)マルク・アンドレ・アムラン:自動演奏のためのサーカス・ギャロップ

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