【リゲティ】ジョルジュ・リゲティの【練習曲集】を解説!(難易度付き)

【リゲティ】ジョルジュ・リゲティの【練習曲集】を解説!(難易度付き) リゲティ
【リゲティ】ジョルジュ・リゲティの【練習曲集】を解説!(難易度付き)
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こんにちは、ピアノ部のこうきです。この記事ではジョルジュ・リゲティの【練習曲集】を解説していきたいと思います。ナンカロウの自動ピアノ作品に触発されたリゲティは、なぜか人が弾くことを想定した練習曲を作りました。それらから12曲を選出して解説いたします。

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目次

ジョルジュ・リゲティとは?オーストリアの現代音楽作曲家

ジョルジュ・リゲティはオーストリア生まれの現代音楽作曲家で、2023年が生誕100周年でした。《ピアノ協奏曲》や《ヴァイオリン協奏曲》などの協奏曲や、声楽作品の《レクイエム》、またピアノ曲では2台巨頭の《練習曲集》と《ムジカ・リチェルカータ》を作曲しました。

これらの作品はまさに「ソルフェージュの鬼」というほどリズムや音が複雑で、譜読みがものすごく大変です。筆者も〈無秩序〉や〈ワルシャワの秋〉、〈金属〉などの練習曲集を譜読みしましたが、1曲半年くらいかかりました。これらの難しさは、ジョルジュ・リゲティがアフリカなどのリズムを作品に投影したためで、現地では体得できるリズムをクラシック音楽に落とし込んだ結果だと言えます。

ジョルジュ・リゲティ《ムジカ・リチェルカータ》ラしかない曲!?

まずはこの曲を聴いてみてください。

出だしから「ラ」しかなく、最後に「レ」が鳴ります。この作品集は1曲目から12曲目にかけて1音ずつ使える音が増えていくのです。つまり、第2曲目は「ミ♯」と「ファ♯」ともうⅠ音「ソ」の3音が使えます。

難曲揃いのリゲティ作品ですが、この《ムジカ・リチェルカータ》はその中でもとても弾きやすい部類に入るので、ぜひ《練習曲集》を弾く前にチャレンジしてみてください!

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》とは?全18曲で3巻編成の練習曲集

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》とは、1985年から2001年の間に作曲されたピアノのための練習曲集です。練習曲集はショパンの作品10や作品25やドビュッシーの練習曲集、またラフマニノフやスクリャービン、シマノフスキなどがピアノのための練習曲集を作曲しており、リゲティの練習曲集もそれらの潮流に沿っていると思われます。

現代音楽に分類されますが、たとえばクラスター(鍵盤をグーやパー、また腕やひじなどを用いてまとめて弾くこと)を使用しなかったり、その他特殊奏法を使話なかったり、非常にピアニスティックにまとめられています。

そんなリゲティの練習曲集の中から今回は筆者がよく知っている12曲を取り上げて解説します。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第1番〈無秩序〉解説

記念すべきリゲティの《練習曲集》の第1曲目は、〈無秩序〉です。この作品は、右手がハ長調、左手が嬰ロ長調で描かれていて、曲名の通りリズムがほとんど無秩序で、無窮動な動きが特徴的です。また、小節線が右手と左手ずれているため、両手で弾くのがとても困難な作品になっています。

途中までは左手のリズムに秩序があり、一応4分の4拍子で演奏することができます。しかし、曲の途中での4分の4拍子が崩壊し、完全に右手と左手のリズムが無秩序になります。ここが、この作品の非常に難しい点です。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第2番〈開放弦〉解説

リゲティの《練習曲集》の第2曲目は〈開放弦〉です。曲名の通り開放弦を彷彿とさせる完全5度の使用が特徴的であり、これらが作品を牛耳っています。完全5度を連続で弾くため、9度が届く手が必要になり、手が小さいとそれだけ難易度は上がります。

しかし、この作品はリゲティの《練習曲集》の中では簡単な部類に入ります。リズムもそれほど複雑ではなく、ある意味、この練習曲集を弾く入門的な作品の1つだと思います。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第3番〈妨げられた打鍵〉解説

リゲティの《練習曲集》の第3曲目は〈妨げられた打鍵〉です。この作品は、片方の手で鍵盤を無音で抑えることにより、まるで隙間のあるようなリズムを演出することができます。これが曲名の意味です。

この作品は、楽譜を見るとそれほど難しくないように見えますが、既に引かれている鍵盤をさらに弾くことになるので、普段のピアノを弾く感覚とはかなり違います。そのため、この作品を本番で弾くのはとても困難です。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第4番〈ファンファーレ〉解説

リゲティの《練習曲集》の第4曲目は〈ファンファーレ〉です。この作品は、この練習曲集の中でも特に有名で、コンクールなどでもよく弾かれています。楽譜上では4分の4拍子ですが、リズムのまとまりは3+2+3となっており、このリズムを維持することがこの作品の最大の難しい点です。

また、このリズムは、旋律のリズムとは異なってくるので、それもまたこの作品を演奏するのをいっそう困難にします。リゲティの作品の中でも1番キャッチーな作品となっており、聞く分には楽しめそうです。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第5番〈虹〉解説

リゲティの《練習曲集》の第5曲目は〈虹〉です。この作品は、リゲティの練習曲集の中でも最も弾きやすい作品のうちの1つです。テンポも遅く、リズムもそれほど複雑ではありません。しかし、暗譜で弾く事はやはり難しいです。

旋律の音型が虹のような形をしており、それが曲名の由来になっていると思われます。もしリゲティの練習曲集を演奏してみたいと言うのであれば、この作品からチャレンジすることも良いかもしれません。もちろん、譜読みが大変なことには変わりありません。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第6番〈ワルシャワの秋〉解説

リゲティの《練習曲集》の第6曲目は〈ワルシャワの秋〉です。 実は筆者が1番リゲティの練習曲集の中で好きな作品です。この作品はリズムのフーガとなっており、様々なリズムが加工する旋律によって複雑に入り乱れ、しかし、ノーブルな雰囲気を持つ、非常に難易度の高い作品となっています。

そもそもこの作品は2段ではなく、3段で書かれており、また右手と左手で分担する音型を音色を揃えて、演奏するのは非常に困難で、リゲティの真髄とも言える作品です。しかし演奏時間は5分ほどしかないので、ある意味、コストパフォーマンスの悪い作品とも言えるでしょう。でも、とても良い曲なので、筆者も弾いてみたい作品です。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第7番〈ガラン・ボロン〉解説

リゲティの《練習曲集》の第7曲目は〈ガラン・ボロン〉です。この作品は、実は楽譜の見た目よりも難しくありません。リズムはそれほど複雑ではなく、6ページほどなので、リゲティの作品の中では比較的簡単な部類に入ります。

しかし調号が「ミ」と「レ」にフラットがつくと言う特殊な記譜法となっているため、冬読みが難しいです。また複雑ではないとは言え、特徴的なリズムを持っているため、それを体得するには時間がかかりそうです。でも、これからリゲティの練習曲集をチャレンジするのも良いかもしれません。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第8番〈金属〉解説

リゲティの《練習曲集》の第8曲目は〈金属〉です。この作品も、リゲティの練習曲集の中では、比較的観覧簡単な部類に入ると思います。筆者も弾いたことがありますが、本当に難しいのは、後半の2ページほどで、最初の4ページは割とスムーズに譜読みが進みました。

後半の難しさは、音が連結し、長いパッセージが増えることだと思います。片手ずつよく練習をし、拍子をしっかり頭の中で数え、両手で合わせることが重要になると思います。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第10番〈魔法使いの弟子〉解説

リゲティの《練習曲集》の第10曲目は〈魔法使いの弟子〉です。ファンファーレと同様に、コンクールで最もよく惹かれる、リゲティの練習曲集のうちの1つです。連打から始まり、これらがどんどん派生していくことで、作品は進んでいきます。

途中からのパッセージは、やはり難しく、一気に惹き切ることが大切になってきます。また、冒頭の連打も、リゲティの指定するテンポで弾くのは相当に練習が必要でしょう。しかし、比較的短い作品のため、後に解説する悪魔の階段よりは、はるかに簡単な作品です。(リゲティの中では)

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第13番〈悪魔の階段〉解説

リゲティの《練習曲集》の第13曲目は〈悪魔の階段〉です。この作品がリゲティの《練習曲集》の中で1番難しいとされることもあるくらい演奏困難な作品です。冒頭はそれほど難しくないのですが、リズムが右手と左手で変わるところから地獄は始まります。

完全に秩序がなく、片手ずつ完璧に弾けるようにしても両手で合わせるとまたそこから練習が始まるという、恐ろしい作品です。暗譜も困難で、よっぽど自身のある人しか弾かないため、コンクールで演奏する人はみな名演ばかり残します。これほど難しい作品を、人間が弾けるようにつくったリゲティはまさに天才といえます。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第14番〈無限柱〉解説

リゲティの《練習曲集》の第14曲目は〈無限柱〉です。これはもう暗譜不可能です。あまり演奏会で暗譜で弾いている人もいないのではないのでしょうか。間違っていても正直分からないと思います。

過去には筆者は「この曲は演奏会で暗譜で弾くことは不可能だ」といった記事をよんだことがあります。この作品を暗譜で弾く演奏会がありましたらコメントの程よろしくおねがいいたします。

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》第15番〈白の上の白〉解説

リゲティの《練習曲集》の第15曲目は〈白の上の白〉です。冒頭は暗譜をのぞいて超簡単で、ついにリゲティも心を宿したのかと思いきや、後半はまさにジェットコースターの勢いでパッセージを弾きまくります。

実は「白の上の白」という同名の絵画があることはご存知でしょうか(下記URL)。ロシア・アヴァンギャルドの画家、カジミール・マレーヴィチがかいたこの作品です。白い正方形のキャンバスにもう1つ白い正方形を書いただけの作品なのですが、なんと趣のある絵画でしょう。リゲティの練習曲集とこのマレーヴィチの絵画の関連性はおそらく解明されておらず、こちらもまた有識者がいましたらコメントをよろしくお願いいたします。

無は無 「白の上の白」 |Team MOMENT
なぜ、何も描かない画家といわれたのか? ロシア・アヴァンギャルドの芸術家……

ジョルジュ・リゲティ《練習曲集》解説まとめ

ここまでジョルジュ・リゲティ《練習曲集》の解説を試みてきました。もしかするとこの作品を弾きたくてこの記事にたどり着いた人もいるかもしれませんが、やはり一筋縄ではいかないでしょう。しかしリゲティがこの《練習曲集》を書くに至ったのも、演奏技術の向上あってのことで、最近はコンクールで弾かれることも多くなりました。近い将来、この作品を弾くことは特別ではない日が来ます。その日のためにも、リゲティに挑戦し、ショパンエチュードと同等にレパートリーにいれておきましょう(自戒をこめて)。

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