【音大生】譜読みしたい曲を独断と偏見で30曲決めてみた(後半)

【音大生】譜読みしたい曲を独断と偏見で30曲決めてみた(後半) 楽曲紹介
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どうも、音大生のこうきです。今回は譜読みしたい作品を独断を偏見で30曲選んでみたの後半をお届けいたします。今回はシューマンにはじまりプロコフィエフに終わります。もっと作曲家を入れたかったんだけど、30曲はそう入らない。あぁ、早く譜読みしたい!シューマン/リスト/ブラームス/バルトーク/ラヴェル/ラフマニノフetc…

目次

シューマン:ピアノソナタ第1番嬰へ短調

シューマンは3つのソナタを残していますが、1番は大変優れた楽曲のように思います。三連符と付点のリズムの違いを皮肉ったような主題に、燃え上がるような和音の連打が大変魅力的です(まぁmちゃくちゃ難しいんだけど)。

この作品は2.3番にくらべて演奏頻度が低いので、あえて選ぶことはありだと思います。しかし、みんなが選ばないのには理由があります。この作品、めちゃくちゃ難しいんですよね。そもそも弾けない、という問題が起こります。

シューマン:ピアノソナタ第3番へ短調

1番に続き、弾きたいのは第3番。第2番ものだめで有名だしかっこいいんだけど、シューマンのイヤーな部分が前面に押し出されちゃてて、少し好きではないかも…(技巧に走り、10度を多用し、展開の仕方が1.3番に比べてどこか浅はか…)

第3番は「管弦楽の無い協奏曲」と題されるほど、壮大な響きがします。もちろんめちゃくちゃ難しい作品なのでじっくり作っていく必要がありそうです。この作品は意外と演奏頻度が高いかも(2番が1番弾かれるかも?)。

シューマン:謝肉祭Op.9

謝肉祭とは、名の通り獲れた動物たちに感謝をする、いわば舞踏会のようなものでしょうか。お祭りは派手でなくてはいけませんが、謝肉祭の始まりはまさにお祭り。盛大なファンファーレから作品は幕を開けます。

この作品は演奏頻度がかなり高いのに、高いレベルで弾く人はあまりいません。なら弾かなきゃ良いのにって思うけど…。だからこそ、この作品を高いレベルで演奏出来たら良いと思うのです。ま、10度が厄介すぎるんだけど。

リスト:ピアノソナタロ短調

言わずと知れたリストの最高傑作。これを聞けば、リストが技巧に走った道化師などという評価がなんというデタラメかが分かります。堅牢な構造に、2つのあまりに孤高な主題は、聞く人を選ぶようです。

コンクールでも弾かれることが多いですが、大抵は消化不足で、なぜ弾くの?と問わざるを得ません。「リストのソナタ」というだけでコンクールに通ると思っている方が多いようですが、上手ければ通るだけの話で、下手に弾くなら弾かない方が良いです。

私は時間をかけてこの作品を作り上げていこうと思っています。

リスト:スペイン狂詩曲

技巧に走っていると言えなくもない作品も、実際は残していますが、この作品は絶妙なバランスでそれを避けています。「スペイン狂詩曲」というのはラヴェルやシャブリエが残していて、「スペインのフォリアとホタ・アラゴネーザ」をモティーフにしています。

フリスカ(リストの狂詩曲の後半に見られる急速な部分)は画期的で、太陽の国スペインの風景が浮かびます。ショパンは絶対に作らないような作風ですね。

ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83

コンクールの課題にはなっているものの、ほとんど弾かれることのない作品です。というのも、50分くらいかかる上に難しく、それでもって演奏効果が微妙。オケのうまさにも左右される超難曲なのです。

しかし、この協奏曲の美しさといったら一体何と形容したら良いのか。冒頭の主題から神がかっています。また、このコンチェルトにはチェロの独奏が入っていて、まさにブラームスの音楽が長大なスケールで繰り広げられます。

バルトーク:ピアノソナタ

バルトークの音楽は民俗舞踊的で、バルトークはそういった民族出身の音楽家、というのは全く誤りです。バルトークは単に民俗舞曲の研究家で、その成果を自身の作品に投影したに過ぎません。

このピアノソナタは3楽章構成ですが、12分ほどで終わる中規模の作品です。とは言っても中身は5年分くらい詰まっていて、演奏効果も高い作品です。この作品の難所はリズム。

拍子が変わる上跳躍が多く、拍節感が失われます。高度なソルフェージュ能力が必要とされる作品の1つです。

バルトーク:戸外にて

ラヴェル:鏡

ラヴェルの組曲には鏡やクープランの墓、夜のガスパールなどがありますが、今回選択した1つ目は鏡。外したのはクープランの墓。クープランの墓は良い曲ですが、トッカータの破壊力が半端ではないので、今は良いかなぁと…。

鏡は5つの作品から成る組曲で、特に第4曲目の「道化師の朝の歌」が有名です。第1曲目の「蛾」はまさに蛾で、不気味な雰囲気がします。また第3曲目の「洋上の小舟」はしっかり練習しないと「荒波に大破するタイタニック」になります。

ラヴェル:夜のガスパール

人間が弾けるレベルを少しだけ超えてしまっている作品。コンクールでは大人気で、もはや弾いたら勝ちなような雰囲気がありますが、実際にこの作品を音楽的に演奏する人はほとんどいません。

絞首台など、水から弾きたいと思うのでしょうか?スカルボだけ弾いたって、作品の理解にはつながらないのです。私は謝肉祭、リストのソナタ、そして夜のガスパールをコンクールで演奏する人に良く注目しています。難易度だけで選曲していないか。

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調

ムチから始まり、トランペットのソロで幕を開けるこの作品は、室内楽作品のようです。ソロが多く、様々な楽器が掛け合う中でピアノが統制を取ります。コンクールの本選で弾かれることが多いですが、オーケストラが間に合わず、あー…となることもしばしば。

この作品で難しいのはもちろんオーケストラとの掛け合いでしょう。室内楽であればなんとなく音を追っていけるのですが、オーケストラだと音が多く、聞きたい音が聞こえない状況になります。その中でも自分の聞きたい音を探し出し、どんどん合わせていくのは至難の技でしょう。

ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番変ロ短調Op.36

ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲

コレルリと表記されることが多いですが、実際はイタリア語で「Corelli」なので、コレッリと発音するのが普通だと思います。コレッリの主題を用いた作品はいくつか散見されますが、このラフマニノフの作品が頂点を極めていると言えるでしょう。

変奏曲はモティーフがどんどん変奏され作品が進んでいくのですが、その中で作品の一貫性を保つのは非常に難しいです。この規模の変奏曲となると、一種の楽章にも聞こえてしまうので、注意が必要です。

ムソルグスキー:展覧会の絵

ムソルグスキーの最高傑作。コンクールや演奏会での頻度は至って普通、コンクールではあまり見ませんね。何といってもこの作品は超難しく、リヒテルが初演を迎えるまでだれも弾きませんでした。

作品自体は絵画のイメージを基に作られた10曲の組曲が、プロムナードと織り交ぜられて進んでいきます。特に後半の演奏難易度はすさまじく、バーバ・ヤーガなどはどうやったら弾けるのか。最後のキエフの大門はただの拷問。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲ハ長調Op.26

最近、蜜蜂と遠雷のCMで聞きますね。私はピアノ協奏曲のジャンルの中では多分1番好きな作品です。宇宙のようなスケール感に凄まじい推進力。それに兼ね備えたプロコフィエフの柔らかさは、まさに絶品です。

この作品はコンクールの本選会ではだれか1人は弾きます。弾ければそれなりの音楽になってしまうので、点も取りやすいです。でも、この作品を本当に弾きこなした人はほとんどいません。どうか、コンクールでの難易度至上主義はやめていただきたいですね。

まとめ

音大生が譜読みしたい作品はこちら

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