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どうも、ピアノ部部長、音大生のこうきです。さて、今回は鍵盤の魔術師「フランツ・リスト」の作品の中からオススメな曲を11作品解説していこうと思います。いやぁ、実のところネタに困っていたのですが、リストをすっかり忘れていました。今リスト弾いているのに。
リストと言えば《ハンガリー狂詩曲集》や、巡礼の年(スイス、イタリア、ヴェネツィアとナポリ)、ソナタロ短調などが挙げられますが、一体リストのオススメとは…。聞きやすい作品からリストの手癖が大爆発した作品、有名な作品まで網羅したいと思います!

目次
愛の夢
CMやバラエティ番組でも大人気なこの《愛の夢》は、もともと歌曲でした。それも、死んだ夫が生きている妻に向かって「僕をもっと愛せばよかったのに」と語り掛ける、なんともいえない歌詞なのです。だから、歌曲よりピアノ版が有名になったのですね。
フィギュアスケートの浅田真央さんも演技に使用しました。非常にドラマチックでどこまでもとろけるような愛を歌うこの作品は、リストにしては優しめな作品ですので、皆さんチャレンジしてみてくださいね。
浅田真央さんが使用したクラシック音楽まとめはこちら
パガニーニ第練習曲より第3番《ラ・カンパネラ》
きました、カンパネラです。カンパネラとは「鐘」の意です。お寺にあるあれじゃないですよ、もっと小さくて甲高い音がでる鐘です。リストは意図的に高音のレ♯の音を使い、鐘を表しました。
この作品の優れているところは、視覚的にも楽しむことが出来ることです。例えば冒頭は、鐘を分かりやすく、1番観客に近い部分で打ち鳴らします。鍵盤を派手に移動する様で、彼は自身の技巧を見せつけようとしました。それに加えての音楽のすばらしさは、リストでしかなしえない偉業、まさに「ピアノの魔術師」です。
ハンガリー狂詩曲第2番
この作品は一部分だけ知っている人が多いかもしれません。冒頭と、フリスカのテーマ、コーダと分割されてBGMなどに使われることが多いからです。こちらは1つの作品ですからね、お間違いの無いように。
フリスカというのはハンガリー狂詩曲に見られるいわば「後半」の部分で、テンポは速く、踊り狂う様が表現されています。
3つの演奏会用練習曲より第3番《ため息》
こちらも有名作品、ため息です。幅広い分散和音に乗せられる旋律は、なんとも美しく、私たちを魅了します。この作品は聞くほど難しくなく、譜読みもそんなに大変ではありません。暗譜は怖いけどね。
3つの演奏会用練習曲 では第2曲目の「軽やかさ」も有名ですので、そちらも合わせてお聞きください。
死の舞踏(ソロ編)
サン=サーンスも同じ曲名の作品を残していますが、それとはまったく違うものです。また今回オススメするのは管弦楽とのアンサンブル作品ではなく、ソロ用です。
冒頭は何を言いたいのかわからないのが普通ですが、実はグレゴリオ聖歌の「怒りの日」というテーマを使用しているのです。グレゴリオ聖歌は単旋律の実に気品に満ちた聖歌で、記譜法の発展や声部書法の発展にも貢献しました。
この作品のオススメの個所は超絶グリッサンドです。グリッサンドが苦手な人ならば流血必須の個所で、本当にかっこいいです。
超絶技巧練習曲集より第4番《マゼッパ》
泣く子も黙るマゼッパです。超絶技巧練習曲中1番難しい作品だと思います。超長いスケールに、超遠い跳躍、超速いオクターブのパッセージに、やぶにらみ(目が外側に開いた状態)にならないと弾けないような部分があります。
こちらはリストの手癖が大爆発しているので、大変難しいのです。リストのある意味「露出狂」的なテクニックと度胸、そしてとてつもない鍛錬の上にこの作品は演奏可能となるのです。
ハンガリー狂詩曲第6番
ハンガリー狂詩曲では2番目に有名な作品で、あのオクターブのパッセージがあまりに有名ですね。ちなみに中間部は冒頭から調が変わってないように思いますが、譜面では変ニ長調から嬰ハ長調に転調しているんですよ。
あそこのオクターブを速度だけで選ぶとしたら間違いなくアルゲリッチです。彼女の連打は、私たちが短音で連打するよりはるかに速く、運動能力の高さが伺えます。
半音階的大ギャロップ
こちらはオススメというより、ネタです。はっきりいって「やっつけ」の曲で、パラフレーズを通り越したお遊びの曲です。ですが演奏は超難しく、魔術師のお遊びのような感じがしますね。
シフラの演奏はまさに圧巻です。
=シューベルト《魔王》
リストはシューベルトの歌曲をピアノ独奏用に編曲しています。しかも、それは伴奏と旋律を一緒に弾くという、一切手を加えない形で編曲しているのです。彼はただの魔術師ではなく、真の音楽科だったのです。
ちなみにこの作品の冒頭の連打はシューベルトが書いているので、致し方ありませんね。ピアニスト泣かせの伴奏です。
=ショパン《乙女の願い》
ここにきてわけわからない曲キターとお思いの皆様、ご安心ください。フジコ・ヘミングの十八番の作品ですから。
実はいまいちショパンの乙女の願いとは分かりません。こちらのリスト編曲の王が圧倒的に有名ですからね。愛の夢と同じくらいかそれより簡単で、小学生でも弾いてしまうくらいかわいい作品です。
ソナタロ短調
乙女の願いから一転、こちらはリストの音楽性が大爆発した作品で、短楽章なのに演奏時間は30分を超えます。冒頭の「ソ」から暗く闇に満ちたソナタは始まります。爆発し、荒れ狂い、ときに絶大なる希望を見せつけては失墜します。
この作品、癖になると大変なので、ほどほどに聞いてくださいね。ワタシノヨウニナラナイデ。
まとめ
フランツ・リストのオススメ作品を11曲解説してみました。どれも有名な作品で、リストらしさが大爆発した曲たちです。他にも「詩的で宗教的な調べ」や、演奏会用練習曲、またベートーヴェンの交響曲のピアノ独奏版があります。
ピアノの魔術師にかかれば、交響曲だって1人で書けちゃうんですよ、奏者の苦労は知りません。
- 1 愛の夢
- 2 パガニーニ第練習曲より第3番《ラ・カンパネラ》
- 3 ハンガリー狂詩曲第2番
- 4 3つの演奏会用練習曲より第3番《ため息》
- 5 死の舞踏(ソロ編)
- 6 超絶技巧練習曲集より第4番《マゼッパ》
- 7 ハンガリー狂詩曲第6番
- 8 半音階的大ギャロップ
- 9 =シューベルト《魔王》
- 10 =ショパン《乙女の願い》
- 11 ソナタロ短調
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