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どうも、 ピアノ部部長、 音大生のこうきです。今回は小学校低学年にお勧めの発表会の曲を20作品選んでみました。もっと選んでもいいのですが、私の体力がもたん。すこし難しめだと思うのですが、子供は可能性を秘めています。案外弾けちゃうかもしれませんよ?
part2はこちら→【ピアノ発表会】小学校低学年にオススメ!発表会のピアノ曲10選part2

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目次
【初級編】~習いたての子~
ペツォールト(バッハ):メヌエットト長調
「ラバース・コンチェルト」とも知られている超有名なこの作品、実は最近、バッハの作ったものではないことが分かりました。ペツォールトこそが真の作曲者であることが分かりました。バッハは自分の作品をきちんと整理しなかった※1ため、ペツォールトのものと混ざってしまったのでしょう。
そのペツォールト、実は代表的な作品は皆無で、ほんの数曲のみが世間で認知されています。ペツォールトのメヌエットト長調を有名にしたのは、バッハの名を借りたからなのかもしれませんね。
※1)バッハは一時期、毎週ミサのための音楽を作曲するという超多忙な生活を送っていたため、作品の量が膨大です。約1000曲ほどにもなる楽曲がバッハ本人が書いたか、という研究は今でも行われ、たびたびバッハではない!と音楽界を騒がせています。研究では、なんと紙が作られた年代を調べることまで行っているそうですよ。
ブルグミュラー:アラベスク
ブルグミュラーといえばこれ、アラベスクでしょう。私はこの作品をレッスンのテストに出されましたが全く弾けず、3週間くらいかかった記憶があります。細かい音符がやはり小さい子供には厄介なのですね。
この作品を音楽的に弾くには、左手の和音の連打の音量を抑える必要があります。大抵の子供は左手を頑張って、右手はなんとか細かい音を弾く、という演奏になりがちです。「音楽的に弾く」というのを教えるのにふさわしい1曲ではないでしょうか。
また、アラベスクとは「唐草模様」を表します。
なんてことを教えて、様々なピアノ曲を聴いてみることを促すきっかけにもなるかもしれませんね。
コルトー:インディアンの踊り
難しそうに聞こえるこの作品、実はそこまで難しくありません。いや、簡単に弾けませす。左手は「ソ、レ」と「ミ、シ」を弾くだけで、右手は6度内で収まります。こんなに簡単なのに、とってもカッコよく聞こえるので、未就学児のコンクールで良く弾かれます。
それもそのはず、この作品の作曲者は「アルフレッド・コルトー」です。コルトーはピアノを弾く上でのメカニックの探求に熱心で、ピアノメトードも作っています。そんなピアノの達人が作ると、簡単に弾けるのに難しく聞こえるという作品が書けるのですね。
ストリーボック:すみれ
「すみれ」というのは覚えていましたが、「はて、作曲者はだれぞ」と調べてみると、ベルギーの作曲家、ストリーボックの作品でした。ストリーボックは多くの子供向けの作品を作りました。「すみれ」は非常にかわいらしい作品ですが、ワルツのリズム、そして転調が入っています。
「転調」は音楽の重大な転換点なのですが、音大生でも見過ごしてしまうことが多い箇所です。小さいころから「転調」に対するアンテナを張っていないと、大きくなってからも転調に疎くなってしまうのですね。
ギロック:コラール・プレリュード
ギロックもまたピアノ教育者として、子供向けの作品を多く残しました。「子供のためのアルバム」と「叙情小曲集」が特に有名なのですが、こちらは「子供のためのアルバム」に収録されている作品です。コラール風で、途中のⅥ度調(ホ短調)に転調する場面がグッときます。
ここではクラシック音楽上の「コラール」について説明できそうですが、これはなかなかしんどいですね…少なくとも多声音楽、ポリフォニーという存在を示すことはできるかもしれません。上声部をいかに歌うかが勝負ですね。
モーツァルト:きらきら星変奏曲(連弾)
ここで変化球をぶち込みます。あまりに習いたての場合、譜読みもままならない場合があると思います。しかし、ピアノを習おうという気がある子なら、きらきら星くらいは弾けるはずです。そこで、先生、もしくは実力に余裕のある子と、きらきら星を連弾してしまいましょう。
モーツァルト作曲きらきら星変奏曲をSecondo(下の人)が、音域を下げて演奏します。そしてPrimo(上の人)がきらきら星を両手、ないし片手で演奏すれば、立派な演奏に早変わりです。習いたての子のモチベーションも上がるのではないでしょうか?

せんせー、ぼくきらきら星弾くからせんせーきらきら星変奏曲弾いて―

あなたがきらきら星変奏曲を弾くのよ。音大生でしょ。
【中級編】~バイエル後半程度~
ツェルニー:ウィンナーマーチ
「ウィンナー」というのは「ウィーン風」の意味です。まぁ、小学校低学年の子なら「たこさんウィンナー!」って感じでしょうね、かわいいのも今のうちですよ(おい音大生)。
ツェルニーと言えば「30.40.50.60の練習曲」ですが、あくまで彼はピアノ教育者。このような子供向けの作品も書いています。指が回らない子には酷でしょうが、ここで回るように矯正するのも手です。長いパッセージはトリルになっているので、少しづつ細切れにして練習する方法を教えることも出来ます。
ベートーヴェン:トルコ行進曲
ここでいう「トルコ行進曲」とはハ長調のことです。変ロ長調の原曲は、超難しいですよ(全音ピアノピアース参照)。この作品は小学校の音楽の教科書にも掲載されていて、比較的知名度の高い作品です。小学校でさらっと弾くと、たちまちスターになれるかも?
この曲の難所は最後の突然不思議な雰囲気になる場所、半音階の部分です。この部分はもれなく暗譜が飛ぶ箇所なので、よくさらうようにしましょう。あとはテンポが超速くなりがちなので、あくまで兵隊が行進するテンポで弾くように、と教えてみましょう。
ベートーヴェン:ソナチネ第5番
ベートーベンはソナタがあまりに有名です。そりゃ「新約聖書」と呼ばれるくらいですから。しかし、ベートーヴェンはソナチネも書いているのです。その中でも有名なのは第5番です。ソナチネアルバム第2巻に収録されていましたね。
この作品は全2楽章形式、しかも超短いので、さらっと弾くことが出来ます。難しいのは左手、アルベルティバス※2が初めてかもしれませんね。しかしここで慣れておくと、このあとモーツァルトで出てきても怖くありません。今のうちに練習してしまいましょう。

エステン:お人形の夢の目覚め

♪~♪~♪~…オフロガワキマシタ。
まさか「お風呂のあの音」で有名になるとは、エステンも思っていなかったでしょう。正式名称は「お人形の夢と目覚め」ですよ。まぁこの作品はピアノ界ではかなり有名ですから、知っている方も多いでしょう。
お人形が目覚める前の和音の連打は、まさに「目覚め」を感じさせますよね。またお人形の踊りの部分はそれはもうかわいらしくて、音大生の私にはもう演奏できません。可愛いうちに演奏しましょうね。
ギロック:舞曲
この作品は3拍子で書かれていますが、あまりワルツっぽくありません。だから曲名が「舞曲」なのですね。特定の舞曲に依拠するのではなく、あくまで自由な舞曲を表しています。確かに、軽い感じで、跳躍するような踊りが似合いそうです。
思ったよりテンポは速いです。細かい音符をコロコロ演奏するには、指先の神経に気を使う必要があり、少し難しいです。構成感も少し異質なので、曲を掴むのに時間がかかるかも知れません。でも、この軽くコロコロした曲調は、癖になるものです。
ギロック:手品師
こちらもギロック、1ページの短い作品です。先程の「舞曲」よりもテンポが速く、また弾むような音色が必要です。指の力を使いつつ素早い動きをしなくてはいけないので、練習は大変かもしれません。
しかし、私たちが成長するには「ちょっと難しいくらいの課題」が必要なのです。もちろんこのくらいのレベルの子にショパンやプロコフィエフは弾けませんが、少しずつの成長により、ショパンやプロコフィエフを弾けるようになるのですよ。
シューマン:子供のためのアルバムより「兵士の行進」
さて、実はこのレベルになるとシューマンが弾けるようになります。シューマンも子供のための作品を残しています。子供のためのアルバム(ユーゲントアルバム)より、「兵士の行進」は非常に活気があり、弾きがいのある作品です。
やはりシューマンとなると声部書法が複雑で、譜面が入り組んで読みにくい場合が多いのですが、この作品は割とすっきり書かれているので、子供でも読めます。シューマンは意外と演奏しない作曲家なので、ぜひ演奏してみてくださいね。
【上級編】~よーーーーく弾ける子~
ラモー:タンブラン
ラモーはバロック時代のフランスの作曲家です。他に類を見ないテクニックが要求される(ベートーヴェンっぽいともいえるかも…)ので、弾きにくいでしょう。しかし、この作品はかっこいいのですよね。フランスの古い民族楽器「タンブーラン」がモティーフとなっています。
なんとなく聞き覚えのある名前ですよね、実はタンブランはタンバリンのフランス語なのです。フランス語は「アン」とか「オン」とかで終わる単語が多いです。ちなみに「アン」だけでも鼻濁音で3種類くらい音の出し方があるので、発音はかなり厄介でしょう。特に「R」…
ショパン:子犬のワルツOp.64-1
指の回る子なら、子犬のワルツはさほど難しい曲ではないです、オクターヴもほとんど出てこないので、小さい手でも演奏可能です。少し厄介なのは調号の多さ。変ニ長調なので、♭が5つつきます。和声感が乏しい子だとしょっちゅう調号を落とすので、分かる我々からしたらイライラして仕方ないのですが、そこは我慢。
また難しい場面は「ワルツ」であること。「ずんちゃっちゃっ」の左手の跳躍が難しいですね。しかしこの「ずんちゃっちゃっ」には跳躍のメカニズムが隠されています。人は自分から離れる動きの方が制御しにくいので、1拍目のほうが外しやすいのです。跳躍はピアノを弾く上で必須のテクニックになるので、この年である程度マスターしてしまいましょう。
ショパン:ワルツ遺作 イ短調
同じくワルツです。ショパンの「ワルツ遺作」というとどうもホ短調の方が有名ですが、こちらはかなり難しいですよ。先にイ短調の方を弾いてみましょう。こちらはあまり速くなく、弾きやすいでしょう。
この作品でも左手が難しいです。左手だけでいえば、子犬のワルツより難しいでしょう。なぜなら、こちらの作品は白鍵で当てなくてはならないからです。白鍵は周囲の鍵盤(黒鍵)の位置から探ることができないので、難しいのです。
シューマン: 子供のためのアルバムより 「楽しき農夫」
この作品は中級程度でも弾けなくはないのですが、音楽の構成が難しいのです。メロディーが左手に来ています。これを、右手がメインになってしまってはたまったもんじゃありません。メカニック的には中級程度ですが、音楽は上級です。
この作品で徹しなくてはいけないのは、メロディーをしっかり出すことです。きっと、今までは右手がメロディーのことが多かったと思うのですが、左手にも表れます。メロディーはどこにでも出現することを教えるきっかけになりますね。
平吉毅州:骸骨たちの陽気な踊り
何この曲?とお思いでしょうが、この作品は邦人作曲家「平吉毅州」の作品で「南の風」という小品集に収録されています。骸骨が踊る軽やかで滑稽な風景が良く伝わってきます。癖になります。
リズムが難しく、体に覚え込ませる必要があるでしょう。「リズム感」を養うのに最適な作品でしょう。しかし、この作品は確かに難しい。とくに中間部、訳が分からなくなります。でも頑張れば弾けます。この作品に関してはたくさん弾いて、たくさん時間をかける必要がありそうです。
平吉毅州: 真夜中の火祭り
さて、こちらは拍子が厄介な作品です。6/8拍子と3/4拍子が混在するこの拍子、実に難しい。そして理解不能。いや、音大生くらいになれば余裕なのですが、小学校低学年では…。難しいですが、やりがいのある作品でしょう。

この作品の難しいところは何を差し置いても拍子なのです。僕は6/8と3/4を区別しなくても両方同時に感じることが出来てしまうのですが、小さい子にそれは酷なこと。よく聞くことが大切だと思うので、あまり推奨はしないのですがこの作品に限り、先生のでも演奏を作ることを奨めます。
ドビュッシー:小さな黒人
小学校低学年でも、ドビュッシーが弾けるんですよ。「小さな黒人」という作品、半音階の進行がメインで、とても速いです。3度もでてくるので大変そうに見えますが、めちゃくちゃ難しい訳ではないのです。譜読みもそんなに苦労しないと思います。
ただ厄介なのは3度。しかも左手なので、なかなかはまりにくいと思います。しかし、よーーーーーく弾ける子なら頑張って弾いてくれると思います。実力チェックとして出しても、意外な結果が返ってくるかもしれませんよ。
まとめ
ここで紹介している作品は、ほとんどが難しい作品ばかりです。しかし、子供の吸収力とは凄まじく、ポンと難曲を出しても弾いてしまいます。もちろん、小学校低学年の子にショパンのバラードは無理ですが、ワルツはいけます。子供のころにたくさんチャレンジをさせ、実力アップを目指しましょう。
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【初級編】~習いたての子~
- ペツォールト(バッハ):メヌエットト長調
- ブルグミュラー:アラベスク
- コルトー:インディアンの踊り
- ストリーボック:すみれ
- ギロック:コラール・プレリュード
- モーツァルト:きらきら星変奏曲(連弾)
【中級編】~バイエル後半程度~
- ツェルニー:ウィンナーマーチ
- ベートーヴェン:トルコ行進曲
- ベートーヴェン:ソナチネ第5番
- エステン:お人形の夢の目覚め
- ギロック:舞曲
- ギロック:手品師
- シューマン:子供のためのアルバムより「兵士の行進」
【上級編】~よーーーーく弾ける子~
- ラモー:タンブラン
- ショパン:子犬のワルツOp.64-1
- ショパン:ワルツ遺作 イ短調
- シューマン: 子供のためのアルバムより 「楽しき農夫」
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