戦争と平和の狭間に生きた【プロコフィエフ】のオススメ作品8選

戦争と平和の狭間に生きた【プロコフィエフ】のオススメ作品8選 プロコフィエフ
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どうも、ピアノ部部長、音大生のこうきです。今回はロシアの作曲家「プロコフィエフ」のオススメを8作品紹介します。プロコフィエフと少し野蛮で、荒っぽい作風だと思われがちですが、彼は戦争と平和について深く考えた人物です。

戦争絡みの作品が多く存在するのも、彼の生きた時代が第二次世界大戦中だったことに由来されます。また来日経験もあり、その際に聞いた「越後獅子」が彼のピアノ協奏曲第3番に引用されているというのは、本当か否か。

ロシアが重要視した「子供の教育」にも関心を持ち、子供向けの作品を残しています。私たちが知っているSoftBankの白戸家のCMにも使われているんですよ!

ピアノソナタ第1番ヘ短調Op.1

Prokofiev Piano Sonata No. 1, Op. 1

こちらはプロコフィエフの修行時代の作品にて、最初に出版された作品です。「Op.」というのは出版された順番を表すものであって、作曲した順番を表すのではありませんよ。

へ短調とはありますが、冒頭はオクターブ下行型で、変イ長調の和音から始まり、彼の冷たい音楽が初めにして表されます。第1主題はまだ修行期の時代の作品とあってか、作風にしてはエモーショナルとなっています。

彼はピアノが上手かったので、この作品からとてつもない音の数が書かれています。1つ1つ処理するのは非常に煩雑で、リストを超えるでしょう。

プロコフィエフ初心者の方にオススメの1品です。

トッカータOp.11

Yuja Wang: NPR Music Field Recordings

「トッカータ」とは「同音連打」の意で、シューマンやJ.S.バッハが書いています。プロコフィエフのそれはまさに「トッカータ」で、同音連打をふんだんに使用した1品に仕上がっています。

この作品はめちゃくちゃ難しく、ユジャ・ワンの得意とする曲です。やはりプロコフィエフはピアノがうまく、また手も大きかったため、難しいというよりは「弾きにくい」作品となっています。

更に難しさに追い打ちをかけるのはテンポです。彼の冷徹である意味尖った音楽は、テンポの乱れを許しません。甘い柔らかな部分は自由なルバートが可能ですが、その反面、鋭く刃物のような音楽の場面では一切のテンポの乱れを排除しています。

ロメオとジュリエットOp.64より《モンタギュー家とキャピュレット家》

Prokofiev Romeo and Juliet – Evgeny Kissin

みんな大好き「ロメオとジュリエット」ですが、実はプロコフィエフがバレエ音楽を書いていたのです。チャイコフスキーも同じ「ロメオとジュリエット」を作りました。有名なのはチャイコフスキーの3部作「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」です。

「モンタギュー家とキャピュレット家」という独特な名前の作品ですが、実はSoftBankの白戸家のCMで使われているんですよね。TVを見る人なら誰でも知っているあのCMに、プロコフィエフは使われているんですね。

ピーターと狼Op.67

Sergei Prokofiev: Peter and the Wolf, a symphonic fairy tale for children S.プロコフィエフ:交響的物語「ピーターと狼」

ピーターと狼という絵本を知っている方が多いかもしれません。その絵本に音楽をつけたのがこの「ピーターと狼」なのです。約25分程度で物語を音楽とナレーターで進めていきます。

耳に残る有名な旋律はピーター、と、登場人物と特定の旋律が結び付けられています。これはId ée fix(固定楽想)とも呼ばれ、ベルリオーズの「幻想交響曲」にて最初に使われたと言われる技法です。

ベルリオーズの固定楽想はかなり難解ですが、プロコフィエフの「ピーターと狼」ではそれを登場人物に充てがうという、非常にわかりやすい例で示してくれました。

ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.16

Yuja Wang plays Prokofiev : Piano Concerto No. 2 in G minor, Opus 16

冒頭からピアノが登場し、魅惑的な旋律を奏でます。実はプロコフィエフの第3番のピアノ協奏曲よりもずっと難しいこの作品ですが、冒頭ではまだその狂気を隠しています。様々な楽器が魅惑的な旋律を受け継ぎ、ピアノに戻ってきたときにはもう誰にも止められません。

第1楽章は本性が出るまでに時間がかかるのですが、本性を現した暁には第2楽章で大暴れするんですよ。これはもう第3番を超えた活動量で、第1楽章との対比で言えばまさに「Scherzo」です。

第3楽章は第3番の第2楽章のモチーフとなっているのでしょうか、弦楽器の使い方に同じような傾向が見られます。重いテンポの中弦楽器を使うと重さに拍車がかかり、非常にずんぐりとした雰囲気となります。

第4楽章には第3番にはないカデンツがあります。もうしつこいくらい濃いプロコフィエフが、この作品では味わうことが出来ます。

ソナタ第3番イ短調Op.28〜古い手帳から〜

プロコフィエフ/ピアノソナタ第3番 古い手帳から Op.28/演奏:小林愛実

「古い手帳から」という副題は、プロコフィエフの修行時代の作品を改変したという断りのようなもので、第4番にも同じ副題がつけられています。

冒頭からホ長調で、トッカータのような作風を想起させますが、実はイ短調なのです。長調と短調のトッカータの雰囲気は全く違い、長調であれば快活で溌剌とした感じですが、短調だと非常に冷たく冷徹です。

想像しているよりもずっと難しいこの第3番。弾けるような気がするけど、実際に弾いてみると全然思い通りに弾けていない、という作品はたまにあります。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番とかね…。

ピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26

Martha Argerich – Prokofiev – Piano Concerto No 3 – Previn

ピアノコンクールでも良く弾かれるこの作品は、直木賞を受賞したピアノコンクールストーリー「蜜蜂と遠雷」では、主人公の1人マサル・カルロス・レヴィ・アナトールにより「宇宙のようだ」と形容されています。

たしかに冒頭のクラリネットの二重奏から広がる世界はまさに無限で、弦楽器が始まってからも調を決定づける和音は姿を現しません。むしろ、あまりに広すぎる世界を楽しんでいるかのようです。非常に優れた作品で、プロコフィエフもプロコフィエフ自身の音楽を完璧に理解していたように思います。

3楽章が対等で、どの楽章も単品の作品として存在し得ます。2楽章の変奏や、第3楽章のプロコフィエフの柔らかさを全開にした場面は他に耐え難い魅力があります。プロコフィエフがただ冷酷に徹したわけではないことが分かりますね。

戦争ソナタ第6.7.8番Op.82.83.84

プロコフィエフ:ソナタ第6番 Prokofiev: Piano Sonata No. 6 in A major, Op. 82, Pianist Jun Asai

こちらはプロコフィエフが戦時中に書いた3つのソナタです。Op.82.83.84と連続して出版されたことも「戦争ソナタ」と名付けるのにはちょうど良かったのでしょうか。

6番は大きなソナタで、第二次世界大戦の開戦ファンファーレが流れます。音楽は明るさも残しつつ残酷さも伺える内容で、戦争の恐ろしさと燃えるような国民の熱い情念を反映したのでしょうか。当時は外国でも、出兵を希望したくらい戦争に対して視線が向けられていました。

7番は短いソナタ。でも内容はピカイチで、あまりにも残酷で衝撃的なソナタとなっています。ファンファーレはもはや不気味で、大砲だって容赦なく撃ち鳴らします。もう戦争は誰にも止められないのです。第2楽章で夢を見せますが、第3楽章はもはや銃撃戦です。

8番はもはや諦念。戦争と平和について考え尽くしたプロコフィエフのドロドロとした感情が露わになります。それ故に非常に難しいソナタになりました。

まとめ

プロコフィエフは冷徹さと甘さを兼ね備えた二面性のある作曲家で、かなり両極端です。トッカータOp.11は非常に冷たい作品ですが、ピーターと狼Op.67はもう子供向けの音楽ですよね。

他には練習曲Op.2やピアノソナタ第2番が有名なので、是非聴いてみてくださいね!

  1. ピアノソナタ第1番へ短調Op.1
  2. トッカータニ短調Op.11
  3. ロメオとジュリエットOp.64より《モンタギュー家とキャピュレット家》
  4. ピーターと狼Op.67
  5. ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.16
  6. ピアノソナタ第3番Op.28~古い手帳から~
  7. ピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26
  8. ピアノソナタ第6.7.8番Op.82.83.84

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