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どうも、ピアノ部部長、音大生のこうきです。今回はフランスの小さな大作曲家、モーリス・ラヴェルのオススメ作品について書いていこうと思います。
ラヴェルと聞くと「譜読みめんど」とか「生理的に受け付けない」とかの声が聞こえますが、要はどれだけラヴェルの作品を知っているかです。ラヴェルのピアノ作品はそれほど多くなく、3冊でピアノ作品全集が作れるくらいです。
そんな中から特にオススメしたい作品を7曲ご紹介します。「あ、これなら生理的に受け付ける」という作品に巡り会えますように!

目次
水の戯れ
ラヴェル初期の作品ですが、初期の作品とは思えないほどラヴェル自身の音楽を象徴づけています。CMでも使われるこの作品は「水」がテーマで、まさに水が様々な様子に変化します。
ささやかな小川に始まり、小川はときに滝を経たり、魚が泳いだりします。最後には大海に注がれる…ようなイメージが私には湧きますが、皆さんはどんなストーリーや情景が浮かびますか?ラヴェルの時代になると印象派の音楽が隆起しますから、より情景が想起しやすいのではないでしょうか。
亡き王女のためのパヴァーヌ
管弦楽版も有名なこの《亡き王女のためのパヴァーヌ》。水の戯れと一緒に初演され、当時はこちらの方が高い評価を得たそうです。(水の戯れはサン=サーンスからも「全くの不協和音」と酷評されてしまった)
たゆたう長い旋律に哀愁漂う和声、ときどき現れる短2度はセンチメンタルさを加えます。この作品、聞いている分には良いのですが弾くのは超大変ですよ。弾くなら相当な覚悟を持って!!
ピアノ協奏曲ト長調
のだめでも知られたこの《ピアノ協奏曲ト長調》。最初の「パン!」と鳴らす楽器は、なんと単にムチなのです。あれを叩くだけでも超緊張しますよね、それによってこの協奏曲の良しあしを決めてしまいますから!
ラヴェルの作品では特にジャズの要素が含まれています。第3楽章ではあの「ゴジラ」の「たたたん、たたたん、たたたたたたたたたん」のテーマが聞こえますよ(こちらの方が作曲されたのは先です)
冒頭のトランペットのソロは、トランペット奏者が吹きたくないランキング上位に入るソロです。人によっては爆速で弾くテンポに合わせなくてはいけませんし、そもそも冒頭の1番目立つ部分でのソロです。まさに恐怖。
ラ・ヴァルス

《ラ・ヴァルス》って、あの「天空の城ラピュタ」の滅びの呪文?

いや、《ワルツ》をフランス語でいうと
《ラ・ヴァルス》になるんだよ。
そうなんです、この作品をフランス語ではない言語でいうなら普通に《ワルツ》なのです。しかし、このワルツは他のワルツとは全く違います。
まさに奇想天外。冒頭から咆哮が聞こえ、徐々に悪魔があらわになります。グリッサンドで荒れ狂い、もはやこれは《ワルツ》ではない、《ラ・ヴァルス》だと…。
最後の終わり方は本当に「バルス!」って言いたくなりますよね。
ソナチネ
さて、ラヴェルのソナタは存在しない(ヴァイオリンならある)のですが、ソナチネは書いています。聞くと大変そうに聞こえるのですが、実際はそうでもありません。といっても、ラヴェルの難しさはありますが。
ラヴェル初心者の方にオススメな1品です。ラヴェルになると「指が回らない」や「譜読みがだるい」は通用しなくなるのですよ、トホホ…。
鏡より第4曲《道化師の朝の歌》
こちらも《ピアノ協奏曲ト長調》と同様、のだめで有名になった作品です。跳ねるようなリズムに素早い同音反復、奏者の指が瀕死の重傷を負う3度&6度グリッサンド。ラヴェルのピアニズムがすべて詰まった作品です。
鏡の中では、特に有名な作品で、管弦楽にも編曲されています。次に有名なのは多分第3曲目の《洋上の小舟》。こちらは左手が超超々難しいので弾くなら頑張って下さ~い!
クープランの墓より第6曲《トッカータ》
ラヴェルは人間が弾ける限界を少し超えた作品をたまに書いてしまうのですが、それがこちらの作品。指定テンポは♩=144で、16分音符で同音反復します。しかもその間に複雑に指が絡む和音を弾かなくてはならないので、それはもう人間のレベルを超えてしまいました。
ピアノの反応が悪いとインテンポで弾けないですし、インテンポじゃないとよく聞こえないという難曲。しかも、これはクープランの墓の最後の曲で、疲れている状態で弾かなくてはいけません。そこまで指先の神経が保てるか…。
まとめ
ラヴェルのオススメ作品を7曲選んでみました。他の作品は《夜のガスパール》や、《高雅で感傷的なワルツ》などがありますが、こちらはラヴェル上級者。《夜のガスパール》の中には《絞首台》なんて物騒な曲もありますし…。
ラヴェルのオススメ作品
- 水の戯れ
- 亡き王女のためのパヴァーヌ
- ピアノ協奏曲ト長調
- ラ・ヴァルス
- ソナチネ
- 鏡より第4曲《道化師の朝の歌》
- クープランの墓より第6曲《トッカータ》
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