【究極の練習法】音大生が教える「譜読みと練習の極意4か条」

【究極の練習法】音大生が教える「譜読みと練習の極意4か条」 練習法
この記事は約9分で読めます。

にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村

どうも、ピアノ部部長、音大生のこうきです。みなさん、譜読みに困ったことはありませんか?読まなきゃいけないけど弾けないし面倒くさい。知っている曲ならまだしも、知らない曲の譜読みは、、、という方が多いと思います。

しかし1度譜読みをした曲であればなんとなく弾けますし、暗譜も早いです。つまり、譜読みを習慣的に行えば作品の引き出しが増え、本格的に演奏したいときにすぐ取り組むことができるようになります。

そんな譜読みはやはりだるいものです。そこで音大生のこうきが、特に効率の良い方法を4つ紹介しますので、是非とも参考にし、自分の中に作品の図書館を作ってくださいね。

  • 自分版を作るべし
  • 間違えないように弾くべし
  • ゆっくり弾くべし
  • 譜読みは習慣化すべし
【究極の練習法】音大生が教える「譜読みと練習の極意4か条」

自分版を作るべし

指遣いを書く

まず取り組むのは指遣いを考えることです。弾いてから考える方も多いと思いますが、予め決めておくことですんなり演奏することができます。また指遣いを考えずに練習していると、不自然な指遣いで練習していることに気がつかないことがあるので、ほとんど全ての音に指遣いを振りましょう。

みなさんも「なんでここの指遣い分からないのに書いてくれないの!?」と思ったことがあると思います。自分版では書かない箇所はないので、ストレスなく譜読みできて、そして演奏することが出来るようになります

足りない記号を付ける

バッハやモーツァルト、実はメンデルスゾーンくらいまでの時代の作曲家は、当時の演奏慣習であったことは楽譜に書いていません。つまり、現代に生きる私たちが当時の演奏慣習を学習して記号を付け足さなければならないのです。

しかしこれは骨の折れる作業で、当時の演奏慣習がわかる人は音楽学者や著名な演奏家に限られます。そこで容易に知識を得られる方法は、実用版を参照することです。

実用版の説明についてはこちら

できれば編者がはっきりしているものを選ぶと良いです。また、実用版にも書かれていない記号はたくさんありますので、アーティキュレーションや強弱記号はたくさん付け足しましょう。音楽とは変化があって初めて音楽となります。ここで手を抜くと機械的な演奏になってしまいますのでご注意を。

イメージや曲想などの自分の考えを書く

実用版を参照し、必要な記号を付け足したあとは自分なりのイメージや曲想を書き出します。先に弾いてしまうと、自分のイメージからどんどん離れていってしまうことになりかねないので、先に書いてしまいましょう。

また、そのイメージ通りの記号が付されているか確認することも大事です。例えば、軽く弾きたいところにスラーが書いてあったら、それは無理な話です。軽く弾きたいのであればスタッカート・レガートに変えるべきです。

このように、自分の中のイメージを作品に投影するには、必ず何かしらの記号に置き換えることが出来ます。「ショパン後期の精神性はドロドロとしていながら極めて高貴で複雑なものだから、自分もお金を貯めて高貴な生活をし、思慮深く精神的に深くならないと」などの工夫は全く意味がないのです。

間違えないように弾くべし

1回の間違いは10回の正解で直す

「自分版」が完成したら、音を出してみましょう。実はこの時点でかなり譜面を読んでいますし、指遣いも書かれているので、指が勝手に動くという現象が起きます。聴き慣れている作品なら譜面を見なくても、また練習しなくても勝手に弾けるのはこのためです。

だからといって完璧に弾けるわけではありません。イメージだけで完璧に演奏できてしまっては練習の意味がありません。実際に指を動かして体験することは必ず必要です。

そこで重要なのは、間違えないように演奏することです。

なぜなら、本番直前になってもミスタッチが治らない原因は、そもそも本番直前までそこをミスタッチし続けているからなのです。うまくいった経験より失敗が多ければ、そりゃ本番では失敗するのは容易に想像ができますよね?

それも1回間違えて1回正確に弾いただけでは、成功率は50%のままです。成功率は本当は100%が理想ですが、間違えた時点で100%は無理な話です。練習では大体80%、できれば90%以上に乗せたいので、1回ミスをしたら9回の成功で上書きしましょう。

また弾けないからといってガムシャラに練習しても、ただミス重ねる練習、つまり下手になる練習をしていることになりますから、そんなことはしないで下さいね。

余談

(脳は惰性が大好きで、惰性に対して興奮作用のあるドーパミンを出してしまいます。そうすると惰性に惰性を重ねた質の悪い練習になってしまいますので、みなさんはこのドーパミンに抗って、質の良い練習をしてくださいね)

指先の感覚を最大限まで研ぎ澄ませる

間違えないことは大前提ですが、間違えないようにと意識をするばかりに、視覚的な情報を頼りにすること、つまり鍵盤や指を凝視することはしてはいけません。肩こりの原因にもなりますが、それ以上の理由もあります。

本番では、視覚的な情報が役に立ちません。練習室とステージの照明は違いますし、私たちは緊張します。その状態で視覚的な情報に頼るのはかなりリスクがあります。

ですから練習のうちから、指先の感覚を養うことが、本番での成功につながります。また演奏が上手い人ほど聴覚に頼る傾向があります。つまり、演奏での感覚の優先順位はこうです。

耳の感覚>指の感覚>視覚的な情報

この式が大逆転する人が多いですし、そうすると本番での成功は遠ざかります。決して視覚的な情報に頼らないで下さいね。

(目をつぶって練習するのはミスしすぎて進まないのでオススメしないけど、まぁ1回やってみるとどんなに視覚的な情報に頼っているか分かるので良いかも)

ゆっくり弾くべし

間違えるくらいならゆっくり弾く

散々「間違えるな」と言ってきましたが、間違えない究極の方法はゆっくり弾くことです。それもかなりゆっくり弾けば、間違えようがないですよね?

ゆっくり弾くと時間がかかるので、そもそも回数が減ってしまいます。しかし、それで良いのです。そもそも回数を重ねたら上手くなるわけではないと、研究で明らかになっていますし、人間はゆっくりの動作でないと脳に記憶が残りにくいことも分かっています。

回数からの呪縛から解放し、また極端に落としたテンポで練習することでのみ、間違いのない演奏は生まれます。

安心してください、ゆっくりの練習が出来た人はその動作を早送りするようにテンポを上げてみてください。そう、ゆっくりの練習とは、速いテンポのスローモーションの動きなのです。

タッチの速度は変えない

スローモーションで弾くのは確かですが、タッチの速度は変えないで下さいね。タッチの速度も変えるともはや音は鳴らず、現実的ではありません。スローモーションにするのはあくまで指の「横の動き」のみです。

音色や音質、強弱を決めるのはタッチ、つまり「縦の動き」です。そもそもの音高、つまり正確な鍵盤に指を導く動きは「横の動き」ですからね。

タッチをコントロールできる速さで

ゆっくりといっても曖昧な感じがします。ここでいうゆっくりとは「タッチをコントロールできる速さ」です。具体的に説明すると、その演奏を早送りしたら自分の理想的な演奏になるような速さです。

自分の思う音質、音色、表情が出ているか、ゆっくりであればじっくり考えながら弾くことができます。また、徐々に変化する要素も、そのグラデーションを細かく揺らすことが、ゆっくりのテンポは可能です。

ゆっくりの練習では多くの情報量を音に込めることができるので、密度の高い演奏に仕上げることができるんですよ。

譜読みは習慣化すべし

あしたが本番(レッスン)だと思って読むこと

さて、だいぶ譜読みから逸れてしまいましたが、譜読みは大変面倒です。何回読んでも覚えられないし、弾けないし、疲れるし。しかし、うだうだ言っておきながら私たちは数万個の音を正確に読み、それを暗譜し、本番で弾いているのです。

そう、結局譜読みからは逃れられないし、私たちは結局やり遂げでいるのです

それをただ早くやろう、という話をしているわけなんですよね。とても哲学的になってしまいました。

ここで言いたいのは「明日本番だと思って読む」ということです。音大では試験前になると大抵の先生は試演会を開くのですが、そのお知らせはこんな感じです。

「明日の昼休み、試演会します。」

そう、突然明日の本番が決まるのです。そうとなったらやるしかないですよね。譜読みも同じです。明日レッスンだと思えば、もう読まずにはいられないですよね。お尻に火をつけるのは今です。

譜読みの習慣をつけるべし

譜読みは大変で辛いものですが、それを習慣化によって勝手に出来るようにしてしまう方法があります。毎日1ページだけ譜読みする、という習慣をつけることです。

1日1ページだけでいいので、適当な曲を譜読みしてみましょう。もちろん、先述した段階を踏みながら読みましょう。1年365日、毎日続けると2年でベートーヴェンのソナタ全曲が読めてしまいます。あなたは去年何ページ譜読みをしましたか?1日1ページ以下なことがほとんどでしょう。

まとめ

譜読みから実際の練習までを説明しましたが、意外と自分の練習について理解していない人は多いです。なんとなく譜読みし、なんとなく弾けるようになり、なんとなく本番が来て弾けてしまう。

それでは譜読みが辛いことには変わりありませんし、いつか弾けない作品が出てきてしまいます(シフラとかヴォロドス編は除く)。また自分の中の作品の図書館が発達しません。

ぜひ自分の練習を見直し、私の練習方法も参考にしてくださいね。

  • 自分版を作るべし
  • 間違えないように弾くべし
  • ゆっくり弾くべし
  • 譜読みは習慣化すべし

(この記事を書いて自分の理想の練習スタイルを見出せたので、自戒をこめて私も頑張ります)

合わせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました